2016/10/18 05:16 ウェザーニュース

今日18日は「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」。キリギリスが戸口で鳴く時期とされています。
そこで今回は、キリギリスについてちょっと変わった角度からご紹介します。

本当にキリギリス?

キリギリスは夏頃から鳴き始めます。鳴くのは主に日照量の多い快晴時で、日が陰っている日や夕方に鳴くことは少ないようです。
また、寿命は約2ヶ月程で、遅くとも11月には姿を消してしまうとのこと。

さて、キリギリスの基本情報を踏まえた上で、もう一度今回の暦を思い出してみます。
10月も下旬に差し掛かり、日照時間が減って気温の低い夜の時間が増えてくるこの時期。戸口で鳴いているのは本当にキリギリスでしょうか?

そこで調べてみると、ある説にたどりつきました。

数々の和歌に注目

どうやら昔でいうキリギリスは、今のコオロギを指していたようです。なんだか信じられませんが、昔の人が詠んだ和歌に注目すると、確かに納得出来る部分が!

・きりぎりすいたくな鳴きそ秋の夜の長き思ひは我ぞまされる(古今集)
・秋の夜のあはれは誰も知るものを我のみと鳴くきりぎりすかな(千載集)

2つの和歌を見てみると、いずれもキリギリスは「秋の夜」という単語とともに使われています。やはり昼間に鳴くことが多い今のキリギリスでは少し矛盾している気もしますね。
では今で言うキリギリスは、昔なんと呼ばれていたのでしょうか。

キリギリスの別名

キリギリスの「ギース・チョン」という鳴き声が機織りの音に似ているところから「機織り虫」「機織り女(め)」と呼ばれていました。

・秋来れば機織る虫のあるなへに唐錦にも見ゆる野辺かな(拾遺集)

歌の中にある唐錦は、色彩豊かな織物のことですが、ここでは鮮やかな秋の草花や紅葉する木々たちを指しています。色とりどりの秋の景色を楽しむことができるのは、夜ではなく明るい時間。つまり、昼間を好んで鳴く今のキリギリスだということも納得できますね。

童謡が変更されていた?

有名な童謡に「虫のこゑ」というものがありますが、その2番の歌詞「きりきりきりきりきりぎりす」が途中で「きりきりきりきりこおろぎや」に変更されていたことを知っていますか?

先程の機織りの話からもわかる通り、キリギリスは「きりきり」とは鳴きません。さらに、キリギリスは夏の虫のため、秋の虫の中に入っているとやはり違和感があります。秋の虫としてはコオロギのほうが適切ということで、歌詞が変更されたようです。

キリギリス自慢の音色は本当に機織りのような音がするのか、はたまた、キリギリスとコオロギの声にはどんな違いがあるのか聴き比べてみるのも楽しいかもしれませんよ。

おさらい七十二候

1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それぞれをさらに6つに分けた24の期間を「二十四節気」といいます。

そしてこれをさらに初候、次候、末候の5日ずつにわけて、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候です。

次回は霜降の初候、霜始降(しもはじめてふる)についてご紹介します。