「2年待ち」と言われた車種が「突然納車可能」に! 喜ばしいハズの「納期短縮」で新たな問題が発生していた

この記事をまとめると

■人気車種は相変わらず年単位の納期遅延が発生している

■ディーラーではそれを見越してたとえば「2年先」で乗り替えたいお客に販売することも

■いま納期が突然短縮することもあり本来喜ばしい「短縮」が別の問題を生んでいる

いま半年なら「早期納車」レベル!

 いまどき新車購入を検討する時の大きな“頭痛の種”が、納車まで時間がかかること。発注してから納車まで半年ほどかかったとしても、“許容範囲内”とか“早期納車の範囲内”というのが新車販売現場では、いまどき当たり前のようになっている。

 ただし、新車販売全体で見れば新車の納期遅延は緩やかであるものの改善傾向に向かっているのも確か。しかし、納期が早まっていくのは歓迎すべきことであるが、新たな問題も発生している。

 たとえば、人気ミニバンのトヨタ ノア&同ヴォクシーでは、本稿執筆時点で納期がどうなっているかを調べてみると、HEV(ハイブリッド車)でパノラミックビューモニター装着車となると、2024年秋以降になっているようである。新規登録作業でマゴマゴしていたり、ギリギリ2024年末に新規登録して2024年式として納車されるのは喜ばしいことではないので嫌がる人も多くなりそうなので、納車は事実上2025年式として2025年に入ってからとなるのが現状ではないかとの話もある。

「現場のセールスマンは納車まで2年ほどかかるとして、希望納期の2年前に注文を入れることを勧めているようです。単に“欲しい時期”ではなく、いまどきは残価設定ローンを組んで乗っている人が多いので、完済時期に合わせることもありますが、支払い途中で下取り査定額にて残債を相殺して乗り換えるほうが賢い選択になりますので、下取り査定額で乗っているクルマの残債を相殺できるタイミングには納車が間に合うように注文をもらうようにもしているようです」とは事情通。

納期が早まると現在乗っているクルマの「残債整理」に不都合!

 ただ、新車の納期は不安定ながら早まる傾向にあり、当該車種全体は納期遅延傾向が続いているのに、ピンポイントで生産が早まり、突然納期が短縮されるケースも多いようである。また、発注していたお客の都合や、待ちきれずにキャンセルとなるケースも目立っているようで、そのようなキャンセル車両に希望仕様が合致すると突然配車が早まり納期が短縮されるとみるセールスマンも多い。

「2年後に合わせて注文入れているのに納車が急に早まると、残債整理に不都合が生じます。当然残債が多く残りますので、下取り査定額で相殺することが困難になります」とは現場のセールスマン。

 すでに、メーカーからディーラーへの“卸価格”ベースでは総じて値上げがはじまっているともされ、ディーラーは利益確保のため、値引きの引き締めだけでなく下取り査定額の上積みなども抑えているので調整がきかないのである。

「仕方がないので、“高値買い取り”を唄う大手買い取り専業店へ持ち込んで自力で処分(買い取り店でも残債のある車両も引き取るところが多い)してもらうようすることをお願いすることもあります」(セールスマン)。

 前述した“キャンセルが目立ってきた”という傾向は、このように納期が早まり残債整理ができないため新車への乗り換えを諦めるというケースもあるものと考えている。

 新車の納期遅延で販売現場は混乱してきた。そして、それが改善傾向に向かうと新たな問題も発生してきた。今回の納期遅延騒ぎが招いた混乱の大きさは計り知れないものとなっているのは間違いない。