国内の販売台数に関しては非常に厳しい

三菱自動車工業が燃費不正で揺れている。そもそも軽自動車の走行抵抗値の不正申告から始まった一件は、軽自動車に限らず、ほぼ全モデルにおいて法規に則った計測をしていないことが判明した。

さらにそれのみならず、国土交通省へ修正申告の機会においても机上計算やチャンピオンデータの利用など、燃費をよくするための不正が繰り返された。そうした不誠実な態度に対して、国土交通省が遺憾の意を表明したことも大きく報じられた。

そもそも三菱自動車工業については、三菱ふそうトラック・バスと分社する以前の2000年と2004年に起こった、いわゆる「リコール隠し」で市場からの信頼をずいぶんと失っている。その問題が起きる前には国内4位のメーカーといわれていたが、いまや見る影もない。

ちなみに、2016年8月の三菱自動車工業の新車販売台数はOEMを含めても5000台。これはメルセデス(スマートと合計)の5102台よりも少なく、国内販売のシェアは1.5%でしかないのだ。

海外の業績を考えれば企業の体力は心配ない

ところで、三菱自動車工業とは無関係な話になるが、2015年秋に北米や欧州でのディーゼルエンジンにおける不正が明らかになったフォルクスワーゲンのセールスも日本においては、いまだそれ以前のレベルには戻っていない。世界各国では影響が少なくなり、いまやフォルクスワーゲングループの販売台数は世界トップになっているというのに、だ。

それだけ、日本の市場は自動車メーカーに誠実さを求めるマインドが強い。であるから、リコール隠しの記憶も残っている時期での別の不正発覚は、三菱自動車工業のブランド価値をよりいっそう毀損してしまったといっても過言ではない。

しかも、リコール隠しの一件を糧に生まれ変わったと期待していたユーザーも裏切ってしまったことになる。とくに正しい計測方法をレクチャーされていながら、修正する機会に不正を行なったという事実はダメージが大きい。体質的に不正を働く企業であると市場に思われてしまっただろう。

この問題の本質は、燃費データが少々違っていたという話ではない。燃費なんて気にしないというユーザーにとっても、自動車メーカーとしての信頼性を失ったことにある。

国内での不正が海外での販売にはそれほど影響していないため、企業としての存続が危ぶまれほどではないが、国内での回復を期待するには、あまりにも厳しい状況だ。

はたして、三菱自動車工業を傘下に収めた日産自動車が、どのような対策を取り、判断を下すのか、まったく予想がつかない。少なくとも市場において、今回の不正についての記憶が薄れるには、まだまだ時間がかかることだろう。

(文:山本晋也)