高性能エンジンは硬いオイルというのは昔の価値観

オイルというのは、エンジンにとって血液のようなものだけに、定期的な交換はもちろんのこと、正しい選択をしてやりたい。そのなかで、重要なのが粘度だ。

粘度というのは文字どおり、オイルの硬さのことで、5W-30のように数字で表わされる。これはSAEというアメリカの規格で決められていて世界中で使われているもの。前のWはWINTERの頭文字で低温時での粘度を示し、後ろは高温時の粘度を表わす。

最近では超低粘度化が進んでいて、0W-20は当たり前で0W-16や0W-8というものも登場してきている。ここまでくると水のようだが、それを主導しているのは自動車メーカーなので、アフターが先行して信頼性に不安があるということではない。もちろん精度の高いエンジンでの使用が前提だ。

もちろんその背景にあるのは燃費だ。粘度があるものをかき混ぜるのは抵抗が生じるだけに、低粘度化に力を入れるのは当然のこと。今や粘度イコール燃費といってもよく、その向上においてオイルにかかる期待は自動車メーカーとしても大きい。

とはいえ、それでも超低粘度オイルは大丈夫か不安になるかもしれない。そもそもWが付いているほうは低温なので、暖まってしまえば関係なし。なので後ろの数字が問題になるのだが、薄くなる油膜を補うために、特殊な添加剤を大量に投入することで、信頼性を確保している。

もちろんスポーツモデルのハイパワーターボ車では粘度の高い、硬いオイルを入れる必要があるが、R35のGT-Rでも0W-40とそれほど硬くない。オイルの技術は日々進化しているので、単純に硬いオイルでないと不安などというのは昔の価値観といってもいいだろう。

ちなみに高速運転を続けると、熱ダレを起こすからオイルの粘度も硬いのにしてやらないとダメという人がいるが、それは間違い。硬いほうが、熱が保持されやすい(あんかけ料理がいつまでも熱いのと同じ)ので、しっかりとした性能のオイルというのが前提になるが、熱が気になるなら、柔らかくするのが正解だ。実際、F1のエンジンに入れるオイルも水みたいである。

さらに粘度を突き詰めていくと、単純な10W-30という缶の表示ではなく、オイルメーカーが公表している性状を見られるようになると分ってくることも多い。

性状とは詳細スペックで、たとえばひと口に30といっても、実際は粘度に幅があることがわかるし、エンジン保護力もわかる。ちなみにそもそもなんの理由があるのかわからないが、性状を公表していないメーカーも少なからずあるのも事実だ。

また高温側が30でも0Wや5W、10Wといろいろあるのを不思議に思ったことはないだろうか。暖まってしまえば同じなら、そんなに種類がいらない気はする。

15W-30のように低温と高温の差が小さいほうが、ベースオイルがより良質だとされるが、逆に差が大きいのは良質な添加剤を採用しないと性能が出ないので、高性能オイルと言える。もちろんほかの要素もあるので、一概には言えないが一般論としてはそうで、粘度ひとつ見ても性能が掴めたりするのだ。

(文:近藤暁史)