静電気が起こりにくく衛生面でも優れている

本革は、牛の皮など自然素材を加工したもの。原皮はそのままではやがて腐敗してしまう。そうした劣化を防ぎ、素材としての柔らかさや強度を与える作業を、「革を柔らかく」と書いて「鞣し」(なめし)という。「皮」はこの鞣しの作業を経て、「革」という安定した素材に変化する。

この「皮」から「革」への加工は、ざっと10段階の工程があるといわれ、その作業は熟練の職人によって行われる。

それだけ手間がかかっているという意味でも、本革製品は高級品で、原皮も一頭一頭違うので、まさにオンリーワンの素材といえる。

そうした本革製品の魅力は何といっても、肌触りと風合い。ほかの素材にはない、革ならではの温もりがあり、使えば使うほど馴染んでいく。

また革製品は、非常に丈夫。ファブリック(布)やビニールの内装は、ヘタをすると数年で破けたり、擦り切れたりすることがあるが、自動車専用に加工された高級本革は、キズや擦れに対する耐性も強く、撥水性や耐熱性もかなりのもの。

さらに革製品は、長期間使用する事で独特の味が出て、味わいを増すのも魅力。ほかの素材では、使えば使うほど劣化して見栄えが悪くなっていくことがほとんどであるのに対し、こうした特性は本革ならでは。

クルマの内装の素材としては、ファブリックよりも汚れが付きにくく、埃がたたず衛生的というメリットも。ペットを飼っている人や、家族に喘息やアトピー性皮膚炎の方がいる場合、普通のシートより本革シートの方が望ましいとされる。

また、静電気が起こりにくいのもひとつの特徴だ。

反面、表面が滑りやすい、冬ははじめのうちヒヤリとする、といった点もあるが、肌触り、艶と香り、質感とルックスなどから来る高級感と満足感は、ほかに代えがたい。シートなど、クルマの内装だけでなく、コートなどの衣服、カバン、靴、財布、ソファなどの家具、etc.と、身の回りのあらゆるところで、革製品が愛され続けている理由は、こうしたところにある。

(文:藤田竜太)