キャブレター時代は当たり前だが今は無意味

エンジンを切る前に一度アクセルを吹かしてからキーをオフにする人を見かけるが、結論からいうとまったく意味はない。

レースを見に行くと、ピットのなかで、メカニックがレーシングカーのエンジンをかけて、いろいろ調整(暖気)したあと、「ブォォォォッォ〜〜、ウォン、ウォン」と、2〜3回ブリッピング(レーシング)してから、エンジンを切る光景がときどきみられるが、あれは、高回転高負荷に特化したセッティングになっているレーシングエンジンならではの手順。

レーシングエンジンのプラグは、熱価も当然高いので、アイドリングのままエンジンを切ると、かぶり気味になり、再始動しづらくなる可能性があるからだ。

とくにキャブレター時代のエンジンは、高回転側にセッティングを振れば振るほど、アイドリング付近の燃焼は苦手になっていたので、市販車でもキャブレター時代のスポーツカーやチューニングカーでは、エンジンを切る前に一度アクセルを吹かしてエンジンを切るのが一般的だった。

今日でも、エンジンを切る前に一度吹かしている人は、その名残でやっている、もしくはその頃の世代の人の影響を受けて、やっていると思われる。

しかし、インジェクター化され、空燃比や点火タイミングをコンピュータで管理する現在のクルマの場合、まったく不要。シフトチェンジでいえば、「ダブルクラッチ」と同じで過去のモノ……。

最後に一踏みしてバッテリーの電圧を上げておくと、次回の始動性がよくなるという説もあるようだが、停止時直前だけ電圧を上げても、結局すぐに電圧は定常値に戻るので無意味。

もし、ブリッピングしないでエンジンを切ると、次回の始動性が悪くなるというのなら、プラグの熱価が合っていない、プラグコードが劣化している、コンピュータセッティング等に問題がある、といったトラブルが考えられるので、一度専門店に点検に出した方がいいだろう。

「意味はないけど、カッコいいから、空ぶかししてから止める」という人は、個人の趣味なので尊重するが、空ぶかし=騒音なので、周囲に迷惑をかけないシチュエーションで、楽しんでほしい。

(文:藤田竜太)