突如開かれた会見では具体的な話は一切なし

夕方、突然トヨタから「スズキとトヨタの共同記者会見を行う」という連絡が入った。「寝耳に水」のニュースである。さまざまな可能性を探るも、これといった動きなし。トヨタとスズキで出来るような協業も思い当たらない。そもそもトヨタの100%子会社となったダイハツにとって、スズキは唯一無二といってよいライバルだ。

「記者会見を待つしか無いですね」という業界通としちゃ悔しい状況。果たして18時30分から始まった記者会見を聞き「さもありなん」。具体的な内容は出てこない。動きが出ていなければ業界通だってわからなくて当然か。豊田章男社長もメディアからの質問を受け「スズキさんとどういった関係になるのかを含め何も決まっておりません」。

一体どうしたのか? 全体の動きを見ると、どうやら鈴木修会長の独り相撲なんだと思う。詳しく紹介しよう。

修会長としては、スズキを何とか存続させていきたい。しかしスズキの状況を見ると、技術的な投資をしてこなかったため、内容カラッポ。ハイブリッドに代表される環境技術から、自動ブレーキなど電子技術に至るまで独自技術をもってない。

今後、一段と高い技術が必要になってくると、完全にお手上げ状態になってしまうだろう。本来なら意地でも突破すべく全力で技術を磨くべきなのだろうけれど、修会長は「出来ない」と見限ったんだと思う。年齢的にも耐えられなくなったのかもしれない。寂しくなって豊田章一郎名誉会長に泣きつき、章男社長を紹介してもらったという流れ。

つまり「何かあったら助けてください」とトヨタに泣きつき、章男社長は「同じ自動車業界だし遠州という土地柄も近い仲間、いいですよ!」と快諾したということである。

実際、トヨタにとってスズキの技術力は”ほぼ”不要。スズキと同等のノウハウを持つダイハツがあるからだ。実際、ダイハツからすれば激しい戸惑いもあることだろう。

日本の自動車産業という大ワクで考えたなら、トヨタの姿勢は美談である。ただスズキの動きを技術屋や経営者として考えれば超カッコ悪いことである。スズキがこんな状況になるとは予想もしていなかった。

本来ならココロの弱くなった年寄りを支え、励ます役割を果たせる人がスズキに居ないということですから。まったく出てこなかった鈴木俊宏社長は何を考えているのだろうか。

(文:国沢光宏)