富裕な大国と貧しい小国との近隣関係は厄介なものになりがちだが、豪州と南太平洋の島嶼諸国との関係も平坦ではない。そこに中国の進出が絡み、豪州は従来の外交の見直しを図ろうとしている、と9月3日付の英エコノミスト誌が報じています。要旨は、以下の通りです。

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豪州が裏庭と見なす南太平洋

 豪州が外交白書を出すと発表した。漂流気味の従来のパートナーシップを見直し、戦略的課題に取り組むと言う。これらの問題が最も端的に見られるのが、豪州が自らの裏庭と見なす南太平洋だ。この地域の最大の試練は、中国への対応で、中国はこの10年、太平洋の島嶼諸国に援助と投資を行い、道路や病院を建設、鉱山を開発してきた。「海のシルクロード」戦略の一環でさらなる活動も計画されている。

 豪州ではこうした中国をどこまで警戒すべきかで議論が起きている。中国は南太平洋では領有権を主張せず、艦隊の訪問も慎重に行い、豪州やNZの反感を買わないよう注意している。しかし、資源の獲得だけが目的だったら、豪州に集中すれば済むはずで、中国がより大きな目的を持っているのは明らかだ。

 実際、中国は時折、米国や豪州について不満をぶちまける。2012年にフィジーを訪れた中国の役人は、自国の内政不干渉の方針を自賛し、大国が小国を「虐める」と批判した。フィジーはこれに理解を示したはずだ。同国は、豪州やNZが加わる太平洋諸島フォーラムを蹴り、別の地域組織を創っている。豪州とソロモン諸島との関係も厄介で、豪州は新植民地主義との非難に耐えながら、同国で軍事・警察活動を担ってきた。

 島嶼諸国の役人たちは、豪州を称賛した後、様々な不満を口にする。豪州はすぐにビザを出してくれない、意見が対立すると援助を盾に使う等である。豪州の難民政策はこうした不満をさらに深めた。豪州に来た難民をパプアニューギニア(PNG)やナウルの仮収容所に送り、第三国による受け入れか、難民の帰国を待つというやり方は、多数の難民が何年も収容所に滞留する事態を招き、「配慮に欠け、傲慢だ」と反感を買っている。そうした中、豪州は先月PNGの収容所の閉鎖を発表したが、その時期や難民の行き先は言わなかった。

 この地域で、豪州の競争相手は中国だ。当初は中国の政治的条件抜きのインフラ投資を歓迎した国も、膨らむ借金の額に不安を感じ始めている。また、国内経済がふらつく中、中国人労働者が道路を建設する光景は、中国による地元の資源や企業の買収と同様、人々の反発を買っている。結局、南シナ海での立場を強化すべく太平洋の島嶼諸国の支持を得ようとした中国の努力は失敗、バヌアツを除き、フィジーもPNGも中立を堅持している。しかし、豪州が狼狽しているのは明らかで、今年初めに出た国防白書は、「われわれと利益が相反する地域外の国の影響を抑えるべく」「太平洋の島嶼諸国と協力する」と述べている。

出 典:Economist‘Foam flecked’(September 3, 2016)
http://www.economist.com/news/asia/21706282-it-not-so-easy-being-biggest-fish-sea-foam-flecked