aflo_TORA084742英国の理論物理学者ピーター・ヒッグス(1929-)。1964年に彼が提唱した理論はのちに「ヒッグス機構」と呼ばれ、2012年、CERNによって「ヒッグス粒子(ヒッグス・ボソン)とみられる粒子の発見」が発表されるに至る。ヒッグス自身は13年、ノーベル物理学賞を受賞。PHOTO: PHILL WILKINSON / CAMERA PRESS / AFLO

ヒッグスは、もう孤独ではない。その粒子の発見から4年を経て、ヨハネスブルグのウィットウォーターズランド大学の高エネルギー物理学グループ(HEP)の科学者たちは、新しいボース粒子(ボソン)の存在を予測した。「マダラ」の名前が与えられており、宇宙におけるダークマターの存在やそのふるまいを説明するのを助ける存在となるかもしれない。

「マダラ仮説」は同大学で開催されたカンファレンスにおいて発表された。研究者たちは、ジュネーヴのLHC(大型ハドロン衝突型加速器)で起きた陽子-陽子衝突に関連するデータを分析し、結果として新しい粒子の存在を推定するに至ったと語った。その質量約270GeV(ギガエレクトロンボルト)は、ヒッグス粒子の質量(125GeV)と比較して2倍以上だ。

実際にのところ、マダラの存在を示す仮説は、すでに2015年に立てられていた。これも同様にLHC由来のデータ分析に基づくもので、新しい実験はその重要性を確認するものだ。

チームマネジャーのブルース・メラードは、次のように説明している。「LHCの実験データのいくつかの特徴や特異性にもとづき、わたしたちのグループはインドとスウェーデンの科学者と協力し新しいボース粒子の存在について仮説を立てました」

ヒッグス粒子と違い、マダラ粒子(とそれに関連する場)は、謎に包まれているダークマターと相互作用しうる。すでに確認されている粒子のふるまいを支配する「標準モデル」は、あらゆる実験データやヒッグス粒子の発見によって何度も裏付けられてきたが、実際のところ不完全だ。何よりもダークマターのふるまいとの相互作用に関する説明が欠けている(ダークマターは最も信頼できる推算でも宇宙の約27パーセントを構成している)。

メラードはさらに語る。「マダラ・ボソンは、わたしたちの宇宙を理解するためにも重要です。もしその存在が裏付けられれば、ダークマターとコミュニケーションをとることのできる最初の物体となるでしょう」

CERNにおける南アフリカの科学者たちの活動の年次レポート(PDF)の著者たちは、さらに踏み込み、次のように書いている。

「新しいボース粒子の発見の重要性は、ヒッグス粒子の発見よりもさらに大きい。後者は標準モデルを完成させるのに必要だった。しかし、新しい力や新しい粒子の族の存在を示唆していなかった。新しいボース粒子の存在は、まだ知られていない力や粒子の存在の証明となるだろう。もし裏付けられれば、この仮説は革新的な発見をもたらすことができるだろう」

とはいえ、CERNに流れる空気は、非常に懐疑的だ。少なくとも、ボーズ粒子の実際の存在について(もし存在するならば)より確かな証拠が見つかるまでは。いまのところは、証明すべき「たくさんの理論の一つ」に過ぎない。

Sorry guys, but there is no evidence so far in the #LHC data to support the existence of a hypothetical #Madala #boson

— CERNpress (@CERNpress) 2016年9月7日

皆さん、すみません。でも、いまのところLHCのデータには「マダラ・ボソン」の存在を支持する証拠はないのです。