スーパーバクリテリア、あるいは耐性菌の存在は抗生物質を無効にするため、人類にとって悩みの種だった。

しかし、『Nature Microbiology』誌で発表された研究が提示するのは抗生物質の代替となるクスリで、これであれば耐性にも対抗できるかもしれないというのだ。研究によって発見されたのは「星型のペプチドポリマー」で、「人間に対する毒性を示すことなく、非常に効果的に病原菌を殺す」という。

メルボルン大学のグレッグ・チャオ、シュー・ラム、ニール・オブライエン=シンプソン、エリック・レイノルズは、5年の長きにわたってペプチドポリマーの研究を行ってきた。

いま、彼らはようやく夢のポリマーをつくり出すことに成功した。チャオによると、そもそも細菌感染に対する唯一の処置が抗生物質をベースにしているからこそ、耐性菌を警戒せざるをえないのだという。彼は次のように語っている。

「スーパーバクテリアが増加することで、2050年までに最大で年1,000万人の死者が生まれる原因となるでしょう。同時に、ここ30年でわずか1〜2つしか新しい抗生物質が開発されていないことも強調されるべきです」

チャオと同僚たちによると、ポリマーはさまざまな種類の細菌の株を殺しうるため、病原菌のもつ大きな武器──多様性に対抗するのだという。

また、この星型の分子は人間に対する毒性を何ら示さないため、安全な治療法の開発につながるともみられている。科学者たちは、血液中の赤血球に対して行ったテストにおいて、スーパーバクテリアを殺すのにわずか100分の1の中毒量で十分であることを証明した。動物の実験体においても、勇気づけられる結果が得られたという。

科学者たちは、ペプチドポリマーの優位性を固く信じている。そして、ポリマーの発見は関連する研究分野の急速な発展にもつながる。例えば、これはわずか数日前のことだが、ハーヴァード医学校とイスラエル・テクノロジー研究所の科学者たちが、バクテリアが耐性を発達させるときにどのようにふるまうかを直接観察する驚異的なシステムを発明した。彼らは、この分野においてほかに類を見ない動画を発表している(記事冒頭のYouTube動画)。