在日ナイジェリア人ラッパー・DOBOLOの「About to Blow」のために、ジェレミー・ルビエが手がけたミュージックヴィデオ。ジェレミーは、代官山のクラブ「AIR」が閉店した際にRedBullが制作したドキュメンタリーも手がけた気鋭の映像監督だ。

2,638人。これは、総務省が発表した2015年12月末時点での日本に在留しているナイジェリア人の数だ。あまり知られていないが、ナイジェリア国籍をもつ在日外国人は、アフリカ大陸の国別にみると最も多い(アフリカ大陸全体から13,368人、次点がガーナからの2,005人)。

今回、初の楽曲「About to Blow」のためのミュージックヴィデオ(MV)をリリースしたラッパー・DOBOLOは、そんな2,638人のうちの1人だ。ナイジェリア人の叔父が経営する東京の機械再生工場で働く彼は、今年から日本で音楽活動を開始した。

彼によれば、もともとミュージシャンになりかったことに加え、活動の背景にはナイジェリア人に対するレッテルを塗り替えたいという思いもあるという。80年代から東京に移住しはじめた一部のナイジェリア人が、六本木や歌舞伎町で違法な薬物の取引に手を染めた結果、多くのナイジェリア人がいまも白い目でみられている。だが、自分たちのように工場で日々汗を流し暮らしている人間もいる。それが言いたくて、DOBOLOは「爆発寸前(About to Blow)」だったのだ。

日本に住むカナダ人の映像作家、ジェレミー・ルビエが手がける今回のMVでは、彼や他のナイジェリア人が働く日本の工場、そして江ノ島の海岸線や新宿の駅前を駆ける巨大なアメ車が映し出されている。そんな見たことがない風景に感じられる心地よい違和感を、ゆったりとしたリズムのトラックとリリックとともに体感できる。

在日ナイジェリア人に限らず、レッテル抜きに特定の国の民族性を理解することは難しい。ただ、レッテルからの脱却は、個性的な1人への興味からはじまることもある。

今回のMVを観てDOBOLOの声を聞くことで、日本にいる2,638人のナイジェリア人のなかには、毎日工場で汗を流して働きながら夢を目指す1人のラッパーがいることが、実感できるはずだ。