aflo_GZHC000744PHOTO: PHOTONONSTOP / AFLO

ヤフーは広告を、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を思い起こさせるような“ネクストレヴェル”に進化させようとしているようだ。つまり、あの小説が描いたような監視社会を現代の技術によってつくり上げ、公共の場で人々に詳細なターゲット広告を見せようとしている。

米特許商標庁が公開した特許出願書類によれば、不特定多数の人が見る屋外広告もデジタル時代に突入すべきだとヤフーは考えている──ただし、その実現のためには、オンライン広告を上回る勢いで人々のプライヴァシーを侵害せざるをえないようだが。

ヤフーが「スマートビルボード」と呼ぶデジタル時代の屋外広告は、高速道路、バー、空港、フェリー、バス、列車といった公共空間への設置を想定している。ターゲット表示のためには、動画カメラや人工衛星、ドローン、人感センサーに、指紋、網膜、顔などの「生体認証」を加えた「センサーシステム」を利用する。広告板の周囲にいる人々を「グループ化」した上で、グループに共通するテーマを分析し、広告を表示するという仕組みだ。

Screen-Shot-2016-10-13-at-2.12.39-PMIMAGE COURTESY OF YAHOO/USPTO

ドキュメントには、以下のように書かれている。

例えば、交通量の多い高速道路に屋外広告を設置する場合、道路上のセンサー類と連動させれば、広告に向かって走ってくる自動車の台数、平均速度といった情報を入手できる。こうした情報を、曜日や日、時間などと組み合わせると、その道路を使っている人たちにふさわしい広告を選定するのに役立つだろう。

広告に向かって走ってくる自動車の静止画や動画を撮影できるデジタルカメラと連動させてもよいだろう。画像認識技術でメーカーやモデルを特定すれば、少なくとも一部のターゲット層の人口学的な特性に関するリアルタイムの情報が手に入り、広告の選択に役立てることができる。

さらに、携帯電話基地局のデータや、モバイルアプリケーションの位置情報、自動車GPSデータも忘れてはならない。

携帯電話基地局のデータ、モバイルアプリケーションの位置情報、画像データなども、ターゲット層に属する個人の特定に利用できる。(過去のマーケティングで作成したデータベースなどを用いれば、)ターゲット層の全体または一部の人口統計データをまとめることができる。カーナヴィゲーションのデータからも、車やその所有者を特定できる。

スティーヴン・スピルバーグによる2002年の映画『マイノリティ・リポート』は、2054年の米国を描くSF作品だが、どこへ行っても網膜スキャナーなどで身元が特定され、各社の「インタラクティヴCM」が個人に直接呼びかけてくる世界が描かれている。レクサスやギネスなどの実際のブランドが制作を許可した作品中のCMについて解説した日本語版記事はこちら。