後輩もできて、部署での立場は中堅どころ。にもかかわらず、仕事に時間がかかり過ぎる、なかなかミスが減らせない…。そんな悩める働き女子へ、ビジネスインストラクターの鈴木真理子さんがアドバイス! 30歳、やる気はあるが「ムラ・ムダ・ヌケ」だらけのやる子に、経験豊富なすずまり姉さんが愛をこめて指南するコラム。今回は、メール作成に時間がかかりすぎてしまうやる子の悩みを、すずまり姉さんがズバッと解決します!

(登場人物)
やる子(30歳)
 突然の人事異動により、すずまり姉さんの部署に籍を置くことになった働き女子。仕事に対しては真面目で、やる気も十分なのに、なぜかいつも空回り……。ミスやムダが多く、残業しているのは自分だけという状況もしばしば。
すずまり姉さん(40代)
 効率よくスマートに仕事をこなす、やる子憧れの先輩。過去に数多の過ちをやらかした経験から、ミス、ムダ、残業を忌み嫌っている。やる子をはじめとする後輩たちには、厳しさとあふれる愛をもって全力で指導中。

メール作成がエンドレス! なぜこんなに時間がかかる?

 柔らかな日差しが降り注ぐ、昼下がりのオフィス。ランチを終えて上機嫌のやる子は、早速、午後の業務をスタートさせます。

やる子 「そうだ、ウーマン社の川上さんに頼まれていた資料を送らなきゃ。えーと、“お世話になっております。△△社のやる子でございます…”と」

 メールに記載する文面を考えながら、キーボードを打つやる子。同じプロジェクトに携わる社内のスタッフにも、同じように連絡メールを作成していきますが…。

やる子 「あ、もうこんな時間。ミーティングの準備、しなくっちゃ。って、なんかこの状況、昨日もあったような…」

 そんな既視感を覚えたやる子の耳に入ってきたのは、カツカツカツ! のヒール音。そう、そろそろお馴染みとなった、すずまり姉さん登場のBGMです。

すずまり姉さん 「あら? やる子、なぜ頭を抱えているの?」

やる子 「うう、すずまり姉さん。何か今、時間泥棒に襲われたみたいで…」

すずまり姉さん 「ちょっと何を言っているのかわからないわ。あ〜た、落ち着きなさい」

やる子 「メールが…いくら書いてもメール作成が終わらないんです」

 やる子の説明を聞き、ため息をつくすずまり姉さん。

すずまり姉さん 「だらだらメールチェックの次は、だらだらメール作成というわけね。…わかったわ、メール作成を短縮するコツ、伝授しようじゃないの」

やる子 「ありがとうございます! ミーティングの後、ぜひレクチャーしてください」

いきなり本文を書く前に、伝えたいことリストを作るべし

 メール作成時、やる子は「お世話になっております」から始まり、内容を考えながら書き進めていました。でも、あれこれ迷いながら書いていると、ムダに時間がかかるものです。

書く前に作戦を立てる

 そこでオススメしたいのは、書き始める前に伝えたい内容を考え、紙やメール画面に書き出すこと。簡潔に箇条書きで構わないので、必要な内容をリストアップし、それを元にメールを作成するんです。

 この方法なら、記憶をたどりながら書くよりもスピーディー。さらに、伝えモレやファイルの添付忘れなども防ぐことができますね。「再送」「たびたびすみません」といったメールをよく送っているなら、書き出す前に考える習慣をぜひ身に着けてください。

テンプレートを活用しよう

 「資料一式を送付」など、同じようなメールをたびたび送ることがあるなら、そのメールをテンプレート化するのも有効。よく使うものをいくつかのテンプレートにしておけば、メール作成にかける時間をグンと減らせます。なお、テンプレートの保存方法はメールソフトによって異なるので、わからない場合は各ソフト会社のホームページなどで確認してください。

■テンプレートの作成手順(Outlookの場合)
1.「新しい電子メール」で件名と本文を書く
2.いつも同じ相手に送る場合は、メールアドレスも入力
3.「ファイル」→「名前を付けて保存」→「ファイルの種類」ボックスにある「Outlookテンプレート」を選択し、ファイル名を付けて「保存」する
■テンプレートの使用手順(Outlookの場合)
1.「ホーム」→「新しいアイテム」→「その他のアイテム」→「フォームの選択」を選ぶ
2.「フォームの選択」にある「ファイルシステム内のユーザーテンプレート」から、該当するものを選ぶ

「より簡潔に」が鉄則! 社内メール作成のポイント

 社外へのメールと違って、社内メールは身内に送るもの。取引先やお客様と同じように丁寧に書いていると、やる子のように終わりが見えなくなってしまいます。基本的に「報連相」が目的なので、コンパクトにまとめることを心掛けて、自分や相手の時間を浪費しないようにしましょう。

宛名は「○○さん」のみでOK

 社内メールで宛名を書くとき、相手のフルネームや部署、役職まで入れる必要はありません。いつも呼んでいるように、「○○さん」だけで十分です。

 また、知らない間に相手が昇進していた、なんてケースもありがち。実際に「次長になった上司へ、課長と書いて送ってしまって注意された」という話を聞いたことがあります。彼はこの日以降、社員名簿を何度もチェックしてからメールを作成するようになったそうですが、これこそムダ! 最初から入れなければ、時間も労力も省けるのでオススメです。

「お疲れさまです」は不要

 冒頭になんとなく入れている「お疲れさまです」の一言。これも簡潔なメールを目指すなら、いっそ省いてしまって問題ないのでは? 忙しい人ともなれば、1日に何十通ものメールを受け取るので、不要な文章は負担になりかねません。相手を気遣う意味でも、用件が瞬時にわかるメールを心掛けましょう。短いメールなら気兼ねなく短文で返せるので、多忙な人からの返信率も上がるはず。

究極の簡潔メール「タイトルオンリー」

 気心が知れた相手と共有したいのが、「T/O(タイトルオンリー)」の暗号。これがタイトルの最後に入っていたら、本文を開く必要はないという意味で使います。「会議室変更 第2→3 T/O」「変更了解! T/O」といった形で素早くやり取りできるので、ぜひお試しください。

過剰な敬語は使うべからず

 時間をかけすぎないようにするなら、文体も使い分けたいところ。文体には「〜する」のような常体、「〜します」の敬体、「〜いたします」の最敬体がありますが、社内なら敬体で問題ありません。上司や先輩に対しても「お願いいたします」「お願い申し上げます」ではなく、「お願いします」で十分です。

すぐに改善すべき! 社内メールのおかしな慣習

 企業によっては、一風変わった社内メールのルールが横行しています。私が実際に目にしたのは「すべての行のおしりを揃える」というルール。文脈にかかわらず、単語をブツ切りにしてでも改行して合わせるなんてナンセンスですよね。また、「明日休みます」のメールをチーム50名全員に送る、という企業もありました。休もうが休むまいが関係ない人にまで送るので、夏休み前にはものすごい量のメールが飛び交うことに…。

 こういった明らかにムダなルールは、すぐにでもなくしてしまう必要があります。また、前ページでお伝えした社内メール作成のポイントも、企業によっては実践しにくいかもしれません。「上に言われたから従うしかない」と思うなら、あなたの後輩や部下たちも同じように感じているはず。板挟みの立場は厳しいものですが、ムダの連鎖はどこかで断ち切る必要があるのです。

 幸いにも働き方改善の風潮が高まっている今こそ、改革のチャンス! 角を立てないように気を付けながら、一つの提案として上司に持ちかけてみてはいかがでしょうか?

メール作成をスピーディーに行うポイント
◆メール作成の前に、必要項目をリストアップ
◆同じようなメールが多いなら、テンプレート化する
◆社内メールはわかりやすく、簡潔に
◆社内メールのおかしなルールには、改革の勇気を!

やる子 「メールは丁寧さを心掛けていたけど、今、思えばただのムダだったとは…」

すずまり姉さん 「メール相手にとっては、あなたこそ時間泥棒だったってことね。ま、これから気を付ければバッチグーよ」

やる子 「(バッチグーって…)はい、気を付けます。そして後輩のことも考えられる、すずまり姉さんを目標にがんばります!」

すずまり姉さん 「今のやる子じゃ、先は長そうね…。でも、ヤングたちのケアは大切なことだから、これからもビシビシ行くわよ!」

やる子 「ヤングって、姉さん…」

 炸裂する死語にヤラレながらも、メール作成のコツを学んだやる子。これでもう、メールは完璧! と思いきや、まだまだ先は長そうで…。次回、やる子が手に入れるスキルとは? そして、すずまり姉さんから飛び出すおやじギャグは? 乞うご期待!

文/石川由紀子 イラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA

Profile鈴木真理子(すずき・まりこ)
ヴィタミンM 代表取締役。三井海上火災保険(現三井住友海上)に事務職で入社し、約10年の勤務を経て起業。企業研修やセミナーで3万人以上に指導を行う。ビジネス書作家(日本ペンクラブ会員)としても活動。著書は7冊、累計15万部突破。近著は「仕事のミスが激減する『手帳』『メモ』『ノート』術」(明日香出版社)。江戸っ子言葉でギャグ好きの姉御気質。数多の過ち経験を告白し、ミス、ムダ、残業を減らすヒントを提唱。