●外国からのお客、恩師はソンビ!? 
 最近立て続けに外国からお客さんが東京に来ました。四十九年ぶりに日本に来た恩師。

 高校のときの担任だったC先生が遺書をしたためて、ワシントンから青春時代を過ごした東京に来ました。その間音信不通で先生から電話を頂いたときにはビックリしました。

 どうして私の携帯番号がわかったのか驚きでしたが、高校のホームページを見て懐かしさのあまり電話をしたそうで、韓国の高校の同窓会六十周年の集いに出席するので、もしかして日本のみんなと連絡が取れるなら寄っていきたいとのことでした。

 高校時代の先生は二十代後半の正義感の強い青年で、その真っ直ぐな性格は暴れん坊や不良学生にとっては怖い存在でした。もちろん私のような優等生(!? )にはその鉄拳はあずかりしらないことでしたが、怖さは伝染してビビっていました。

 がんの手術を四回受けて最後の旅行とおっしゃった割には先生はお元気で、とても八十歳には見えませんでした。記憶力も確かで生徒だった私たちよりも昔のことをよく覚えているのでとても遺書をしたためた人には思えません。

 その姿はあたかも昔の朝鮮王朝時代の「ソンビ」のようでした。権力におもねることなく、たとえ相手が王様でも志を曲げず是々非々をただす士大夫そのものです。たとえ貧しても正義を貫くその強さこそ今日の韓国を下支えしてきました。

 よく韓国は法よりも権力や人間関係が幅を利かし、腐敗した両班が映画などで描かれていますが、この「ソンビ」はたとえ命を脅かされても筋道を守り通しました。

 このような「知識人」がいたからこそ、それなりに韓国が保たれていると言っても過言ではありません。



文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている? 』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)