『宮廷女官 チャングムの誓い』で日本に韓国時代劇ブームをもたらしたイ・ヨンエ。彼女が13年ぶりにテレビドラマに復帰するということで注目されているのが『師任堂(サイムダン)、色の日記』である。10月に韓国と中国で同時放送がスタートすると伝えられていたが、果たして可能なのかどうか。


■撮影は完全に終了している

 実際、『師任堂、色の日記』の撮影は昨年から行なわれていてことし6月にすべて終了している。

 放送と並行して撮影されるのが当たり前の韓国ドラマで、『師任堂、色の日記』が完全な事前制作にこだわったのは、中国と同時放送するためだった。中国では未だに検閲制度があるので、早めの撮影終了が欠かせなかったのだ。

 それもクリアして『師任堂、色の日記』は10月からの韓中同時放送にこぎつけたのだが、予想外のことが起きた。それは、政治的に韓国と中国が微妙な関係になってしまったことが影響している。


■天下の美女と美男の共演

 ドラマは、タイトルにもなっているとおり、朝鮮王朝時代に実在した申師任堂(シン・サイムダン)が主人公になっている。しかし、現代の世界も同時に描かれる。それは、イ・ヨンエが申師任堂と現代の大学講師を1人2役で演じ分けるからだ。

 どんなストーリーなのか。

 大学講師が申師任堂の日記を偶然に発見して読んでみると、驚くような秘密がわかってきた。興味を持った大学講師は進んで秘密に挑んでいき、朝鮮王朝時代に起こったことが徐々に明らかになっていく……。

 イ・ヨンエも「過去と現代のそれぞれの女性の生き方が描かれています。そのことに、とても興味を持ちました」と語っている。共演はソン・スンホン。天下の美女と美男が繰り広げる物語に視聴者はきっと釘付けになるだろう。


■傑作の予感がするけれど

 順調に撮影を終えた『師任堂、色の日記』。本来なら、10月に韓国と中国で同時に放送が始まる予定だったが、今はまだ明確な放送日を決められない状態である。韓国と中国の政治的な問題が影響してしまったからだ。

 韓国は北朝鮮のミサイル攻撃に対応するために、アメリカの後押しもあって「THAAD(サード)」と呼ばれるミサイル防衛システムを配備する計画である。しかし、中国の領土までレーダーが及ぶということで、中国が韓国に対して嫌悪感を露にしている。つまり、中国は「THAAD」の配備に反対なのである。

 それにもかかわらず、韓国は当初の計画を変えないつもりだ。これが韓国と中国の政治対立を引き起こしてしまった。

 その結果、中国は韓流スターの入国まで制限するような対抗措置を取っている模様だ。こうした状況で、果たして『師任堂、色の日記』の10月からの韓国・中国同時放送開始が可能なのかどうか。雲行きは怪しいと言わざるをえない。

 作品そのものは傑作の予感がするだけに、政治的な問題に影響されないで、純粋に大衆文化として中国にも受け入れてもらいたいのだが……。

 主演のイ・ヨンエも、きっとハラハラしているに違いない。


文=「ロコレ」編集部
(ロコレ提供)