韓国東南部にある慶州(キョンジュ)は、7世紀に朝鮮半島を史上初めて統一した新羅(シルラ)の首都があった場所で、935年に新羅が滅ぶまでは朝鮮半島の政治と文化の中心地だった。それだけに、韓国随一の古都としてよく知られている。

■仏国寺の再建は朝鮮王朝時代後期

 慶州では、世界遺産に指定されている仏国寺(プルグッサ)が有名だ。慶州の中心地からタクシーで20分くらいのところにあるが、周囲は美しい緑に囲まれていて、仏教建築が並ぶ境内では古き時代の栄華をしのぶことができる。

 この仏国寺の創建は525年と伝えられているが、木造建築物は戦火や火災によって何度も焼失し、現在の建物は朝鮮王朝時代の後期に再建されたものだ。

 特に有名なのが多宝塔である。

 仏国寺に代々伝わる宝物を納めた塔で、幾何学的な美しさを持っている。

■荘厳な秋の空気

 仏国寺では、団体客が目につく。

 私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)が行ったときも、生徒たちが何組も大勢で記念撮影をしていた。修学旅行や遠足のメッカなのである。

 慶州のもう一つの真骨頂はやはり雄大な古墳群だ。

 お寺は日本でもたっぷり見ることができるが、韓国に残る古墳はやはり本場ならではのスケールがある。

 特に慶州には、広々とした前庭の奥に大きな古墳が行儀よく並んでいる場所が多い。そういう古墳群は本当にお椀を伏せたような形をしていて、秋に訪れると、覆っている草もきれいに色づいている。

 遠くには山が見え、荘厳な秋の空気が漂う。

■郷校のイチョウが見事

 古風群のそばには、古い民家が残っていて、韓国の奥座敷に入ってきたような心地よい感覚にとらわれる。

 古墳と一緒に古い民家の佇まいを見られるというのは、古都ならではの贅沢だ。

 やがて、郷校(ヒャンギョ)がある一角に出た。郷校とは、朝鮮王朝時代に各地に造られたエリート学校である。歴史的な保存建築物であり、堂々とした書堂や情緒的な中庭を見学できる。

 中庭には、キムチを漬ける大きなカメが並び、その脇には菊の花が咲いている。

 いかにも中世的な光景である。日本の庭は手をかけすぎるきらいがあるが、ここはあるがままという感じだった。

 もう一度、郷校の外観を見る。韓屋の塀沿いには競うようにイチョウが植えられていて、韓国風の反り返った瓦と絶妙な調和をかもしだしている。

 やはり慶州にはイチョウがよく似合う。

文=康 熙奉(カン ヒボン)
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