2010年のドラフト会議で注目を集めたのは早稲田大の斎藤佑樹日本ハム)、大石達也(西武)、福井優也(広島)、中央大の澤村拓一(巨人)ら大学生投手だった。

 1位指名では大石に6球団が、斎藤に4球団が競合。クジ引きの結果、大石は西武、斎藤は日本ハムが交渉権を獲得した。しかし、この年のドラフトを振り返ると、現在の球界を代表する打者たちが揃って指名されいることに気づく。

◎山田哲人は「外れの外れ」1位指名だった

 2010年に指名された野手で大きく活躍しているのはヤクルト1位指名の山田哲人、ソフトバンク2位指名の柳田悠岐、西武3位指名の秋山翔吾だ。

 履正社高時代に強打の内野手として注目を集めた山田は、大石、伊志嶺翔大(東海大→ロッテ)を外したオリックス、斎藤、塩見貴洋(八戸大→楽天)を外したヤクルトの2球団が指名。3度目の抽選の結果、ヤクルトが引き当て、山田は「外れの外れ」1位指名で入団した。

 山田は2014年に193安打を放ちブレイクすると、昨季、今季と2年連続で「3割、30本塁打、30盗塁」のトリプルスリーを達成。日本球界を代表する選手となった。

 広島経済大の柳田は全国的に無名な存在だったが、王貞治会長の「この中で一番飛ばすバッターは誰だ?」という一言で、ソフトバンクが急遽2位で指名した。

 柳田は2014年に全試合出場し打率.317の活躍を見せると、昨季は首位打者に加え、山田とともにトリプルスリーを達成。チームの日本シリーズ連覇にも大きく貢献した。

 柳田が指名されたが、当初ソフトバンクが2位指名で想定していたのが八戸大の外野手・秋山だった。秋山は西武に3位指名されると、1年目からレギュラーを獲得。俊足巧打の選手としてチームに欠かせない存在となるも、際立った成績を残すまでには至らなかった。

 しかし昨季、開幕からバットを寝かせた新しいフォームに変えると、次々とヒットを量産。日本記録にあと2と迫る31試合連続安打を記録し、最終的にはNPB新記録となる216安打を放ち、最多安打を受賞した。

◎明暗分かれた1位指名選手

 2010年のドラフト1位指名選手を見ると、明暗がくっきりと分かれている。

 山田のほかに大野雄大(中日)、塩見、須田幸太(DeNA)、澤村がチームに欠かせない存在となっている一方、注目されていた斎藤、大石は伸び悩んでいる。

 また、ロッテ1位指名の伊志嶺翔大は1年目に32盗塁を記録したが、角中勝也、清田育宏、岡田幸文らがしのぎを削る外野陣で、なかなか定位置をつかめず、今季は34試合の出場に終わった。


◎新人王争いは2人の即戦力投手が制す

 新人王争いを見ると、セ・リーグでは澤村が11勝と前評判通りの活躍を見せ、パ・リーグでは西武が2位指名した日本通運のアンダースロー・牧田和久が塩見、伊志嶺との争いを制し、新人王を獲得。牧田はシーズン途中で先発から抑えに配置転換となり、22セーブを挙げる活躍を見せた。


◎ソフトバンク・千賀が育成選手から躍進

 下位指名に目を向ければ、広島の守護神・中崎翔太が6位指名で入団している。2014年にセットアッパーとして台頭すると、昨季からはクローザーを任され新守護神に。今年はリーグ優勝を決めた9月10日の巨人戦で胴上げ投手となった。

 また、ソフトバンクの育成ドラフト4位で指名されたのが、愛知・蒲郡高の千賀滉大だった。プロ2年目の2012年に支配下登録され、2013年には51試合に登板し、出場機会を一気に増やした。昨季はロッテとのCSファイナルステージで好救援。今季は開幕から先発の一角に加わり12勝3敗と結果を残し、無名の存在から一気にリーグを代表する選手に成長した。

 日本ハムはこの年、2位で智辯和歌山高の西川遥輝、5位で愛工大名電高の谷口雄也を指名。西川は今季、打率.314でプロ入り後、初めて打率3割をマーク。谷口は今季、自己最多の83試合に出場。ともにリーグ優勝の一翼を担った。

 高卒選手の育成能力が高いと言われている日本ハムのドラフト戦略は、2010年も「らしさ」を見せていた。


文=武山智史(たけやま・さとし)