10月の時点で借金があっても翌年の3月には、借金が帳消しになっている素晴らしいプロ野球の世界。毎年発令される徳政令のお陰で、ヤクルトは昨シーズンにふくらませた14個の借金がもれなくゼロになった。

 さて、リーグ5位に終わったヤクルトは今シーズンどのように戦うのだろうか。他球団が開幕投手、レギュラーを発表しているなか、真中満監督はスタメン候補などを公表していない。そこで、ベールに包まれているヤクルトの今シーズンにおける気になるところを洗い出してみた。

◎「1番・山田哲人」構想は実現するか?

 昨シーズン終了後、真中満監督は今シーズンの打順を白紙に戻して考えると明言した。その場で披露した案が「1番・山田哲人構想」である。昨シーズンの山田哲人は3番、4番で起用され、1番での出番はなかった。

 思い起こせば2015年シーズンの開幕5試合の打順は、1番・山田、2番・川端慎吾の並びだった。しかし、ポイントゲッターとして期待されたミレッジが5試合目で離脱。その後、打順は試行錯誤を繰り返したが、シーズン後半に2番・川端、3番・山田、4番・畠山和洋の並びが機能し、リーグ制覇の原動力となった。結果オーライではあったが、もともと真中監督の構想の基本は「1番・山田」だったのだ。

 昨シーズンは坂口智隆の加入もあり1番・坂口、2番・川端、3番・山田の並びをメインだったが、故障者が多く機能しなかった。

 しかし、今シーズンは「故障者がいなければ」というヤクルトにとって最大の壁をクリアできることができれば、「1番・山田が塁に出て、2番・坂口がヒットエンドラン、3番・川端タイムリー、4番・ココ(バレンティン)がホームラン♪」(※)という他球団の応援歌(『燃えよドラゴンズ!』)のメロディーに乗りそうな攻撃が期待できそうだ。

(※)編集部注 『燃えよドラゴンズ!』の歌詞には「一番高木が塁に出て 二番谷木が送りバント 三番井上タイムリー 四番マーチンホームラン」という一節がある)

◎捕手を固定するのか? 中村悠平と西田明央の正捕手争い

 次は捕手に目を向けよう。昨シーズンの開幕は中村悠平がマスクをかぶったものの、極度の打撃不振もあって控えに降格。後半戦は西田明央にスタメンを奪われた。真中監督は正捕手争いについて「中村と西田のがっぷり四つ。総合力で勝る方を使う」と語っている。

 近年、正捕手を固定できているチームは少なく、昨シーズンも12球団で規定打席に到達した捕手は小林誠司(巨人)ただ1人。真中監督は捕手を固定する方針をとるのか。それとも最近のトレンドである併用制を取るのか注目したい。


◎正遊撃手は法政大の先輩・後輩対決!

 ヤクルトの内野陣で一番の激戦区は遊撃手だろう。昨シーズンは大引啓次がスタメンで出場する機会が最も多かった。しかし、腰に爆弾を抱えており1年間のフル出場は難しい。昨シーズンも後半戦は西浦直亨にスタメンを譲っている。

 今シーズンも正遊撃手の座は、法政大学の先輩後輩コンビでもある大引と西浦で争うことになるだろう。

 しかし、大穴で廣岡大志に期待したい。昨シーズン、「永遠番長」こと三浦大輔の引退試合でデビュー戦初打席・初本塁打を放ったあの廣岡だ。守備も打撃もまだまだ粗削りだが、この争いに加わってほしい。


 去就が注目されていたバレンティンの残留が決定。故障気味の畠山と競わせるために大砲候補のグリーンを獲得。野手陣に関しては、マイナス要素はなさそうだ。

 文中でも触れたが王者奪回のためにはケガ人を出さないことだろう。昨シーズンの広島も田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の「タナキクマル」が故障せずフルシーズン戦えたのが、優勝の大きな要因だった。

 今シーズンは負傷離脱者のいないヤクルト野手陣の活躍を見たいものである。

文=勝田 聡(かつた・さとし)