台風の襲来が相次ぐ。強い勢力のまま上陸し、全国的に大きな被害をもたらしている。台風シーズンは、なお続く。警戒を怠れない。

 今年に入り、発生した台風は16個で、平年より少ない。だが、上陸数は6個に上る。1951年の統計開始以来、2番目に多い。

 20日にも、台風16号が鹿児島県に上陸した。記録的な大雨により、九州や四国、本州の太平洋側を中心に浸水被害などが発生した。

 特異な進路を 辿 たど ったのが、8月の台風10号だ。関東の南方海域から南西に進んだ後、太平洋上でUターンして岩手県に上陸した。

 北海道には、8月の1週間で3個もの台風が上陸し、農作物に甚大な被害を与えた。

 北日本は台風の進路から外れることが多かった。従来のデータに当てはまらないケースが増えていると言えるだろう。

 米国での研究によると、日本周辺の台風の年平均最大風速は、この40年間で15%増した。強い台風の発生数は4倍になった。

 台風は、海水温が高くなると、そこからエネルギーをもらって勢力を増す。地球温暖化が進行すれば、台風は一層、強大化する恐れがある。ハード、ソフト両面での対策が求められる。

 台風10号では、岩手県岩泉町の高齢者施設の入所者9人が死亡した。町が発した避難準備情報の意味を施設側が理解しておらず、避難誘導が遅れたことが一因だ。

 避難準備情報が出たら、一般の人はいつでも避難出来るように備える。高齢者ら要援護者は直ちに避難を始める。こうした定義が分かりにくいことも事実だ。

 群馬県高崎市は、初めから第2段階の避難勧告を発するようにした。「避難所へ行きましょう」と、平易な言葉で住民を促す。このような工夫が大切だ。市町村が空振りを恐れずに避難情報を出すことが、安全確保につながる。

 今後、心配されるのは土砂災害だ。度重なる豪雨で、各地の地盤は緩んでいる。

 土砂災害防止法は、崖崩れや地滑りなどの恐れがある「土砂災害警戒区域」を都道府県が指定するよう定めている。指定されると、土砂災害時の避難経路や避難所が整備される。住居移転の際に、補助金が支給される場合もある。

 警戒区域の指定が完了したのは8月末で9県にとどまる。不動産価値の下落を懸念する住民が少なくないためだ。

 都道府県は、住民の理解を得ながら指定作業を急いでほしい。