新たな段階に入った北朝鮮の脅威に、どう対処するか。日米両国は、緊密に連携し、国連を効果的に活用すべきだ。

 安倍首相が国連総会で演説し、北朝鮮の核・ミサイル開発について「これまでと異なる次元に達した。計画をくじかなくてはならない」と非難した。

 北朝鮮は今年、核実験を2回強行した。20発以上の弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)にも着弾させた。

 首相が「航空機や船舶に被害がなかったのは全くの偶然に過ぎない」と指摘したのは当然だ。

 北朝鮮は国連安全保障理事会の再三の制裁決議を無視している。首相は「国連の存在意義が問われている」と力説した。核保有の野心を断念させるには、更なる制裁強化が不可欠である。

 首相は、安保理常任理事国である米国のオバマ大統領、英国のメイ首相らと意見交換した。新たな制裁決議の採択に向けて、協力を確認した意義は小さくない。

 新決議の採択と、制裁の実効性確保のカギは、追加制裁に消極的な中国の対応である。米国などとともに、中国に北朝鮮包囲網に加わるよう促すことが重要だ。

 今年12月、日本は国連加盟60年を迎える。安保理の非常任理事国を加盟国で最多の11回務めている。支払った国連分担金などの累計は200億ドルを上回る。

 日本は、安保理改革を実現し、常任理事国入りを目指すうえでも、今回の北朝鮮問題できちんと役割を果たしたい。

 オバマ氏も任期最後の国連演説で、核実験は「我々すべてを危険にさらす」と述べ、北朝鮮への圧力を強める必要性を強調した。

 見過ごせないのは、北朝鮮の5回の核実験のうち、4回がオバマ政権下で実施されたことだ。中国に制裁履行を徹底させられず、核・ミサイル開発の進行を結果的に許したのは痛恨である。

 オバマ氏は、中国の独善的な海洋進出やロシアのウクライナ介入を念頭に、「強国が国際法に挑んでいる」との危機感も示した。

 ブッシュ前政権によるイラク戦争の反省から、オバマ外交は国際協調を重視した。日韓との同盟強化で成果を上げたが、中東や対中露での影響力低下は否めない。

 「世界の警察官」として紛争に積極介入する役割を米国が回避した隙に、「力による現状変更」の動きが強まり、「イスラム国」などの過激派組織が台頭した側面もある。オバマ氏にも、 忸怩 じくじ たる思いがあるのではないか。