事故に備えた保安体制に万全を期し、競争を促進したい。

 今年4月から全面自由化される家庭向けのガス販売に、東京、関西、中部、九州の4電力会社が参入する方針を表明した。

 首都圏では、東京電力が日本瓦斯と提携して7月から営業を開始する。2019年度に100万世帯にガスの供給体制を整える。

 近畿圏は、関西電力と岩谷産業が組んで攻勢をかける。電気とガスのセット割引などで、大阪ガスより安価な料金を打ち出した。

 ガス自由化は、昨春の電力小売り自由化に続く規制緩和だ。

 都市ガス供給は、主要各社が地域を分け合い、独占的に展開してきた。異業種の新規参入によって多彩な料金やサービスを促す。各社の越境販売も可能になり、多様な担い手が競い合う。

 電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替えた利用者は、昨年末時点でも全体の4%にとどまっている。電力使用量が多い家庭でなければ料金がほとんど変わらず、利用者が自由化の恩恵を実感できないと指摘されている。

 ガス販売に乗り出す事業者は、魅力的な料金メニューや関連サービスの提供などで消費者の心をつかむ工夫が求められる。

 大切なのは、消費者が抱く不安を払拭することだ。

 電気とは異なり、ガスの場合は、レンジの故障やガス漏れ時の対応など、小売業者が家庭の機器に接する場面が多い。

 新規参入する大手電力は、保安業務を中小ガス事業者などに委託し、ガス器具の安全な使用方法の周知や故障の修理などを行う。

 事故発生時には、ガス管を保有するガス大手が駆け付けて緊急対応することになっている。

 平時と有事で保安業務の担い手が異なる体制に問題が生じることはないか。ガス大手と電力各社の円滑な連携が問われる。

 電力の小売り全面自由化では、東電のシステム障害で新電力の料金請求が混乱した。こうした事態を招かないよう契約変更の手続きもスムーズに進めてほしい。

 電力自由化では100以上の企業が参入したのに対し、今回はガスを大量輸入する大手電力だけだ。中部電と東電の火力発電会社が調達する天然ガスは、世界トップクラスの規模を誇る。

 ガスを自前で調達できず、設備を持たない企業が参入するハードルは高い。政府は今後、事業者が安価なガスを調達できる仕組みなどを検討する必要があろう。