【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の主要権力機関、国家安全保衛部(秘密警察)の局長クラスが昨年北朝鮮を脱出し韓国入りしていたことが12日、北朝鮮事情に詳しい消息筋の話で分かった。

 国家安全保衛部は金正恩(キム・ジョンウン)体制を維持するため住民の動向を監視し反体制派を摘発する機関で、トップの部長は、金正恩政権で粛清を主導してきたとされる金元弘(キム・ウォンホン)氏が務める。金正恩朝鮮労働党委員長の信任は厚く、今や北朝鮮の実質ナンバー2と評される。

 同部高官の脱北は異例だ。朝鮮人民軍の将官が局長を務めることが多く、この脱北者が軍出身なら将官クラスだった可能性がある。金委員長はこの脱北に関し、「ついに保衛部まで逃げ出す」と不快感をあらわにしたとされる。

 この脱北者は平壌で「民心の動向」を把握する業務を任されていた。韓国関係機関による聴き取りに対し、政権維持の方法や住民を監視するシステムなどについて話したとみられる。

 消息筋は、この脱北者が韓国関係機関に「平壌の民心が熱い」と話したとしながら、これは金委員長に対し住民が好意的ではないという意味だと説明した。

 住民は金委員長の恐怖政治のために組織的な抵抗には踏み出せないものの、統治の仕方に不満を抱いているようだ。「出身成分(身分)」の良いエリート層が多く暮らす平壌でも金委員長は支持を得ていないということになる。

 国際社会による制裁で北朝鮮の統治資金は先細り、幹部の忠誠心は低下している。これを引き締めようとする金委員長の恐怖政治の被害者は増える一方と伝えられる。

 韓国情報機関・国家情報院傘下の国家安保戦略研究院の辛彦(シン・オン)院長は聯合ニュースのインタビューに対し、「対北制裁による金正恩政権の統治資金の減少規模を正確に把握するのは難しいが、当初の40%程度しか確保できていないとみられる」と述べた。また、「幹部の処刑が日常化している」としながら、金正恩政権に入り約140人の幹部が処刑されたとの見方を示した。

 一方、国家安全保衛部の名称が「国家安全保衛省」に変更されたとの観測もある。