首都圏の人らが、梅の収穫に関する仕事を手伝いながら余暇を楽しむ「梅収穫ワーケーション」が、4期目となる今年も和歌山県みなべ町で取り組まれている。子ども連れで参加しやすいようにキッズスクールを開いたり、企業研修として受け入れたりするなど、年々取り組みの幅を広げている。受け入れ農家からは、地域を越えた人のつながりを喜ぶ声が聞こえる。
梅収穫ワーケーションは、みなべ町と一般社団法人「日本ウェルビーイング推進協議会」、協力農家の「官民地域連携」で取り組んでいる。
町の基幹産業である梅農家が抱える高齢化や後継者不足、人手不足などの課題に、ワーケーションを通じて解決の糸口を見つけようと、2022年から始めた。受け入れ農家は無償で作業を手伝ってもらうことができ、参加者は非日常体験を通じて心身ともに良い状態になれるという取り組み。
初年の22年は梅農家11戸が受け入れ、6月の1カ月間で延べ240人が収穫を中心に手伝った。23年からは、5月から7月初旬までに期間を延ばし、19戸が受け入れ、延べ382人が収穫だけでなく準備や片付けも手伝った。24年からは、企業研修や、参加者の子どもたちが町内の学校に通ったり体験イベントに参加したりするキッズスクールもスタート。20戸が受け入れ、延べ355人が参加した。
今年は18戸が受け入れる予定で、現時点で約200人が参加を予定している。
滞在期間は参加者によって異なり、何度も来訪する人もいる。無報酬で、交通費や宿泊費は参加者の自己負担。
同町晩稲の山本康雄さん(62)、貴子さん(62)夫婦は、初年から参加者を受け入れている。昨年までに約70人が山本さんの農園を訪れており、今年も約20人を受け入れる予定。
参加者は完熟梅を拾う作業や、選果、箱詰めなどの出荷作業をしている。
山本さんは「人手が増える分、仕事が早く終わり、心に余裕が持てるようになった。日々違う人が来るので、常に新鮮な気持ちになるし、いろんな職業の人と話をするのも面白い」。
貴子さんは「梅シーズン以外にも遊びに来てくれたり、こちらからも遊びに行ったりと、梅収穫ワーケーションを通じて人のつながりが広がった」と笑顔。
2日に山本さんの農園で梅収穫ワーケーションに参加した和歌山市の公務員男性(49)は「15年ほど前に仕事で梅に携わったことがあるので、懐かしい」と話しながら、小梅の選果に取り組んだ。
梅収穫ワーケーションを運営する日本ウェルビーイング推進協議会の島田由香代表理事(51)は「梅収穫ワーケーションに参加することで、今年のようなひょう害があってもこの農家さんから購入しようというように、消費者の購買行動が変わるきっかけになると思う。三重県のみかんや甘夏収穫ワーケーションなど、他地域でも1次産業ワーケーションが始まっており、スキルを持った農家同士が地域を越えてつながり、繁忙期に手伝い合えるような連携も生まれてきている。農家のウェルビーイングを上げるきっかけになっていることがうれしい」と話した。
今年も「梅ワーケーション」 地域越え、つながり広がる、和歌山県みなべ
AGARA 紀伊民報 2025/06/07 14:30