「愛がなければ長続きしない」 MLB630発グリフィーJr.が日本の指導者に説いた「FUN」の大切さ

「ドームで聞いたANSWER」第42回

 19日まで東京ドームで行われた米大リーグの「MLB 東京シリーズ by Guggenheim」はドジャースがカブスに2連勝して幕を閉じた。「THE ANSWER」では来日した選手、米メディア関係者らに現地で直撃取材。「ドームで聞いたANSWER」と題し、語ってもらった内容を伝える。

 第42回は、メジャー通算630本塁打のケン・グリフィーJr.氏。17日、MLBカップに出場するU12少年野球チームの指導者20人ほどを対象にクリニックを開いた。殿堂入りの名選手が説いたのは、楽しむことの大切さ。親子で受講した参加者は大切な学びを得ていた。(取材・文:THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

 ◇ ◇ ◇

 球史に残るレジェンドが、身振り手振りで熱弁した。「今日野球を始めた子どもに、最初に何を教えるか」という参加者からの問いに、グリフィーJr.氏は実体験から回答した。「引退後、息子が入っている6歳の子どもたちのチームでコーチをしたんだ。最初に持って行ったのは大量のタオルだったよ」。まずバットではなくタオルを振らせる。一番“ピュッ”と力が入る「パワーポジション」がどこか探るためだ。

 力の伝え方を体で理解させてから、徐々に打撃練習へと進んでいく。「子どもを教え始める時は、楽しく、彼らが自信を築けるようにしなくてはいけない。でないと彼らはプレーしようとはならない」からだ。少しずつ「できる」喜びを感じてもらう。「FUN(楽しい)」というテーマは、グリフィーJr.氏とともに来日した他の3人の元メジャーリーガーの教えにも共通していた。

 メジャー通算91勝右腕のジェレミー・ガスリー氏は、缶やビンにボールをぶつける遊びから、狙ったところに投げるための目や体の使い方を学んだという。二塁手として3度ゴールドグラブ賞に輝いた名手ハロルド・レイノルズ氏はキャッチボールの工夫を紹介。顔の位置なら5点、胸なら2点、それより低ければマイナスといったポイント制にすることで、飽きずに集中力を維持できるとする。

参加者のコーチ「コーチングも変えていかないと」

 親が干渉しすぎないことも重要だ。「あなたがデレク・ジーターが好きだからって、子どもがアーロン・ジャッジのように構えているのに『ジーターのように構えなさい』って言っちゃダメ」とグリフィーJr.氏。通算2195安打の捕手ジェイソン・ケンドール氏も、コーチは「君を信じている。あとは任せたよ」と、捕手にゲームのコントロールを託すべきだと主張した。

 レイノルズ氏も「選手たちを信じて、『君たちがプレーするんだよ』と言ってあげられるのが最高のコーチ」と同意する。12歳の息子と一緒に参加した、少年野球コーチの坂元聖さんは「昔の野球はハードでしたが、今は時代が変わってFUN。コーチングも変えていかないといけない。楽しませることがやはり大事。プロフェッショナルがそう仰るなら、僕たちも自信を持って教えられる」とうなずいた。

 どんなスター選手も、最初はゼロからのスタート。「スポンサー契約も何もない。プレーしたいから始めたんだ。試合を見に来るのはママ、パパ、じいじばあばぐらい」とグリフィーJr.氏は少年時代を振り返る。いずれは挫折を経験し、金や名声といった要素もつきまとう。「しかし、この競技に対する愛がなければ長続きしない。野球は、スポーツは楽しいものであるべきだ」と、あくまで原点を忘れないでほしいと願う。

「野球はプレーさえできれば、背が低くても体が小さくても誰だって倒せる。それが他のスポーツと違うところ。大事なのはサイズではなく、中身だ」と力説したグリフィーJr.氏。「野球は多くのことを教えてくれる。チームワーク、決して諦めないこと、常に自分を信じること。数々の人生のレッスンはグラウンド外でも生きる」。野球の上達だけでなく、人としても成長できる指導を求めた。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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