新タイヤと新舗装に戸惑い含む多くの反響「S字のなかで跳ねる」「検証してほしい」/SF鈴鹿テスト

 2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕を2週間後に控え、鈴鹿サーキットで2月18日と19日に公式テストが行われた。

 新シーズンを占う上では重要な2日間だったが、“強烈寒波”の影響を大きく受けることに。初日は明け方まで降った雪が溶けて午前の約半分がウエットコンディションとなり、午後はドライコンディションになったものの、強い西風の中での走行となった。

 2日目の19日は雪がさらに強くなり、予定されていたふたつのセッションがともにキャンセル。各陣営は1日目の走行データをもとに、3月の開幕大会を迎えることとなる。

 今年は再生可能原料・リサイクル原料比率がさらに高められた新スペックのタイヤが導入されたほか、開幕戦の舞台となる鈴鹿サーキットの東コースが新舗装に変わったため、それらの確認をしたいところではあったが、2日目の走行がキャンセルになったこともあり、各陣営とも充分なデータは得られていない模様だ。

 その中でもドライバーたちは新しいタイヤと路面の違いについては多くのことを感じている様子。テスト初日走行後には野尻智紀(TEAM MUGEN)のインプレッションを速報でお伝えしたが、ここでは広く参戦ドライバーたちの所感をまとめた。

■新タイヤは「硬い」「でも、タイムは落ちない」「正直、難しい」

「タイヤ自体がそもそも硬くなっているのかなと思います。特にフロントが変わったなという感じがしていて、アタックをしている時も荷重の抜けやすさみたいなのはちょっと増えたのかなと思いつつ……でもタイムは落ちないなという印象はあります」

 そう語るのは1日目のセッション2で1分36秒116のトップタイムを記録した牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。基本的にショートランをメインとしたメニューだったなかで、いろいろと違いを感じていたようだ。

「タイヤに関しては落ち(デグラデーション)は少ないのかなと。何周行ってもわりとタイムは出ているイメージがあって、逆に一発のタイムがバンって出るイメージがないというか、(午後のセッションで)ユーズドタイヤで(1分)36秒7が出ていて『(最後のニュータイヤでは)35秒台に入るかな」と思ったら36秒1だったので……昨年とかの上がり幅と比べたら、少ないのかなと思います」と牧野。

 それに関連しているのか、ウォームアップの感触について聞くと「今回タイヤウォーマーを入れていて、昨年末のテストとやっていることは一緒ですけど、ちょっと(温まるのが)遅い気はしています」と心配している様子だった。

「ウォーマーを入れていてこの状況なので、開幕戦の気温と路温次第では、どうなるのか心配ですね。今回は“アウト・ウォーム・プッシュ(計測2周目でのアタック)”で行けましたけど、ウォーマーがなかったらどうなるのか……予選時間を考えるとけっこうギリギリになるかもしれないです。幸いにも僕たちはピットが一番前なので、もしそうなっても大丈夫な方かもしれないですけど」

 2日目が雪でキャンセルになったことで、ほぼすべての車両がロングランができていない状況ではあるが、牧野は「(タイヤの特性が)ちょっとロングよりになったのかなと思いますが、逆にその分レースの展開が減るのではないかなと心配はしています」と現状での予測を話してくれた。

 同じく1日目のセッション2で牧野から0.027秒差の1分36秒143という2番手タイムを記録した福住仁嶺(Kids com Team KCMG)は、タイヤが変わったことで“難しさ”を感じていた。

「タイヤはちょっと変わると聞いていたんですけど……正直『全然違うな』と。ピッチ方向に対しての動きが(タイヤが)潰れるんだけど跳ね返りが硬い感じがあって、それがコーナー途中というかS字のなかで跳ねたりする感じがあります」

「個人的にはゴムとしては柔らかい感じはするんですけど、潰れてからの跳ね返るまでが硬い感じがするので『難しいな』と思っています。特にフロントの方がそう感じますね」と苦笑いをみせていた。

 ロングランに関しては実際にテストできていない部分があるため未知数ではあるが、東コースの舗装が新しくなったこともあり「摩耗は少なくなる気がするので、レースとしては抜けなくなるかもしれないという心配があります」と福住。

「こんな寒い時期でしか走っていないので、これから暑くなった時に全然違ったタイヤの動きになると思いますが……けっこう勢力図も変わるのではないかなと思います」と予想していた。

 阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)も「1回アタックしたタイヤで、もう一度走った時にタイムの落ちが少ないというのはあります」と、周囲のドライバーと同じような感想を持っていたが、朝まで雪が降っていたところから路面コンディションが回復していったという点も考慮しており、「今回のキャラクターがそのまま次もそうかと言うと、そうではないのかなと思います」と冷静に状況を見極めていた。

■東コース新舗装は「ピーキー」。バンプの影響でスピンも

 今回変更になっているのはタイヤだけではない。開幕ラウンドの第1・2戦と最終ラウンドの第11・12戦の舞台となる鈴鹿サーキットの東コース路面が、シーズンオフ中に新しく張り替えられた。1日目のメディアミックスゾーンでは、この新舗装に関する話題で持ちきりとなっていた。

 全体的にまとめると、バンピーなところが何箇所かあるようで「ピーキーだ」と表現するドライバーも少なくなかった。新舗装での違いを把握している途中でコースオフを喫したドライバーもおり、そのひとりがセッション1終盤にNIPPOコーナーで飛び出した坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)だ。

「新しい舗装のバンプでスピンしてしまいました。みんなも僕がスピンしたことで『あそこはヤバい』と認識を持ったと思います」と坪井。振り返ると彼がスーパーフォーミュラの単独走行でコースオフを喫する場面というのは珍しいこともあり、午後のセッション2では「けっこうビビっていました」と走りに守りが入っていた模様。

 また、バンプの影響で車体下面についているスキッドブロックにハッキリと分かるような痕がついていたとのこと。「スーパーフォーミュラのダウンフォースであれだけバンプすると、結構恐ろしいです。コースオフしたところもそうですし、S字のひとつ目もそうです。どのカテゴリーもそうですけど、スピードが速ければ速いほど危ないので、そこは検証してほしいなと思います」と語っていた。

 その他にも聞こえてきたのが、1〜2コーナー。セッション1でスピンを喫した大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)も「鈴鹿のコース改修で(1コーナーが)ちょっとバンピーになっているのに加えて、タイヤが変わっているというところで、今までと比べて『ここはグリップしていたはず』という感覚と違っていました。その時のセットアップも相まって、リヤが流れやすくなっていたという感じでした」と状況を振り返っていた。

 同じように1〜2コーナーで苦戦していたというのが太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。「路面は新しい方がグリップしますし、実際にグリップの向上は感じられました。そこは嬉しいです」と語るものの、各所の変化を感じ取っていた。

「風の影響なのか路面が変わったことによるものなのか、僕も原因をつかめていないですが……とにかく1〜2コーナーがめちゃくちゃ難しい。僕の感覚ではベストの状態からコンマ3秒以上(1〜2コーナーで)ロスっていたイメージです」

「風の影響もあると思いますが、(鈴鹿テストでは)いつも風は強かったので、そうすると路面の影響があるのかなと。あとはターン7(NIPPOコーナー)でアクセルを踏んでいかなければところがトリッキーになっています」

 太田は事前に新舗装に関する情報を得ていたとのこと。「一昨日にスポーツ走行で走った人から(NIPPOコーナーの状況を)聞いていましたが『FJとかの車両でそうなるということは、僕たちのクルマだったら、どうなるんだ?』と思って走ったら……『確かにな』となりました」

 その他にも「あとはデグナーふたつ目立ち上がりの縁石も変わりましたけど、テストは基本的にマージンをとって走っているので、緑色のところは1回も踏んでいないですね」と、鈴鹿サーキットの改修された部分に対して理解を深めている最中という様子だった。

 また、風の影響については小林可夢偉(Kids com Team KCMG)も言及しており「多分1〜2コーナーに関しては風だと思います。すごいテールウインド(追い風)でしたからね」とのことだが、「ターン7はヤバいです」とも話していた。

 1日目が寒波の影響で低温かつ風が強いコンディション。さらに全車が新しい仕様のタイヤを初めて履いて、コースの路面改修と、“今までとは違う要素が多くすぎた”という、ある意味で特殊な状況だったのかもしれない。

 加えて、2日目が雪でキャンセルとなり、各陣営ともに充分なデータがそろっておらず、現時点で「タイヤや路面を理解できた」と言うには程遠い状況にある。今季はレースフォーマットも変更され、一部レースではピットウインドウの制約も撤廃されるが、戦略面への影響について各陣営からは「すべては新しいタイヤのロングラン性能次第」という声が事前から聞かれていた。そこがテストで充分に検証できないなかで迎える3月の開幕戦は、過去数年以上に予想のつかない展開や勢力図が待ち構えていそうだ。

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