近年、バイクの安全装備としてABSの搭載が進んでいます。しかし、原付一種にはABSがほとんど採用されていません。その理由は何故なのでしょうか。
原付一種にABSが搭載されていない理由とは?多くのバイクに搭載が義務付けられているABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、急ブレーキ時にタイヤのロックを防ぎ、安全な制動をサポートするシステムです。
バイクは、タイヤがロックするとスリップしやすくなり、制御を失う可能性が高まります。特に路面が濡れていたり、砂利が浮いていたりする状況では、ブレーキを強くかけると簡単に転んでしまいます。
そんな時にABSが作動すると、ブレーキ圧が自動的に調整され、タイヤのロックを防いでくれる(ロック寸前の状態を保つ)ことで車体の安定を維持しやすくなる仕組みとなっています。
また、ABSはライダーのブレーキ操作を補助する役割も果たしています。
具体的には、バイクのブレーキングは前後ブレーキのバランスを適切に取ることが重要ですが、特に初心者はその調整に苦戦気味。
前輪のブレーキを強くかけすぎると、前のめりになり転倒する危険があり、逆に後輪ブレーキだけに頼ると制動距離が長くなるなど、十分な減速ができない場合があり得ます。
しかし、ABSが装備されていると強くブレーキをかけてもロックするリスクが減るため、そのような状況が起きにくくなるといったメリットがあるという訳です。
ライダーの安全性を高めてくれるABSは、日本では2021年10月1日から新型の126cc以上のバイクに搭載が義務付けられたこのようにライダーの安全性を高めてくれるABSは、日本では2021年10月1日から新型の126cc以上のバイクに搭載が義務付けられました。
そして51ccから125ccの原付二種には、ABSまたはCBS(コンバインド・ブレーキ・システム/前後連動ブレーキ)の装備が求められており、CBSはフロントブレーキ、またはリアブレーキのみをかけた場合でも、前・後輪にバランス良くブレーキがかるシステムなので、ABSと同じく安全なブレーキングに寄与するものとなっています。
一方で、50cc以下の原付一種はこれらの義務化の対象外となっていますが、これには何か理由があるのでしょうか。
この背景には、原付一種の用途や性能が関係していると考えられます。
原付一種は主に、短距離の移動や低速走行を目的として設計されており、日本においては最高速度も30km/hに制限されています。そのため急ブレーキを必要とする状況が少なく、ABSの効果が限定的。さらに、ABSの搭載にはコストがともう事も理由のひとつでしょう。
ABSはセンサーやコントロールユニットなど高価な部品で構成されているため、その分、車両価格が高騰してしまいます。
低価格帯で販売されている原付一種においては、数万円の価格上昇が消費者の購買意欲に影響を与える可能性がゼロではありません。
50cc以下の原付一種はABS義務化の対象外となっているまたABSの装備によって車両重量が増加することも、原付一種へ搭載されない理由でしょう。
ABSを装備すると、一般的に3kgから5kgほど重量が増加するとされています。軽さが求められる原付一種にとって、この重量増加が走行性能や燃費に影響を及ぼすことは、想像に難くありません。
これらの要因から、原付一種にはABSの搭載が義務化されず、メーカーも搭載に踏み切らない事が考えられます。
一方で、開発当初のABSは10kg近くありましたが、最近では1kg近くまで軽量化されたABSも増えてきており、500gから1kg程度のABSがスタンダードとなる時代も、そう遠くないかもしれません。