バイクで安全に走るために、昔からよく「遠くを見ろ」と言われます。もちろん意味は理解できますが、そもそも「遠く」とはどれくらい先を指すのでしょうか? また、遠くを見るコツはあるのでしょうか?
「遠く」とは、どれくらい先のこと?砂や水溜まりなど路面状況の把握はもちろん、対向車や路肩からの飛び出しなどを回避するためにも、走行中は「遠くを見る」ことが必須です。ライディングテクニックと言うよりは安全運転の基本として教習所でも習います……が、「遠く」とはどれくらい先を見れば安全なのでしょうか?
安全にライディングする上で、遠くを見ることは必須だが……「遠くを見る」のは、前方に発生した危険の回避、すなわち前方の危険個所までに停止することが基本的な目的です。そしてバイクやクルマは前方に危険や異常を察知してから停止するまでに、おおむね3秒かかります。
3秒の内訳は、異常や危険を判断してから実際にブレーキをかけ始めるまで約1秒(空走距離)、ブレーキが効いて停止するまでに約2秒(制動距離)を要するからです。逆に言えば、約3秒あれば危険回避できる可能性が高いので、昔から「3秒先を見ろ」と言われています。
「3秒先」って、何メートル?それでは、「3秒先」とは具体的に何メートルになるのでしょうか? 当然ながらスピードが低ければ距離が短く、高ければ距離が長くなります。計算すれば分かるとはいえ、走行中にその都度計算するのは現実的ではありません。その間にドンドン進んでしまいます。
そこでオススメなのが、走行しているスピードをそのままメートルに置き換える方法です。たとえば「40km/hで走っている時の3秒先は40メートル」という感じです。
実際の計算値よりそこそこ長めの距離になりますが、その分はマージンと捉えましょう。たとえば高速道路を100km/hで走っている場合の実際の3秒先は、秒速27.8m×3秒=83.4mですが、コレも「おおむね100メートル」で良いと思えます。
センターラインで、距離が測れる!?3秒先が何メートルかわかったら、実際にその距離の目安にすると便利なのがセンターラインや車線を区切る白線(破線)です。この白線の長さと間隔は、一般道と高速道路で異なります。
一般道のセンターライン(中央線)や車線境界線は、白線と間隔ワンセットで10メートル。高速道路の車線境界線は白線と間隔ワンセットで20メートルというワケで、一般道を40km/hで走っている時は「3秒先=30メートル」なので、センターラインの「白線を3セット先」というように、時速スピードの「10の位」を白線のセット数に置き換えれば良いでしょう(50km/hなら5セット先、60km/hなら6セット先)。
高速道路の場合は、最高速度100km/hが基本ですが、近年の120km/hの場合も3秒先を計算すると約100メートルなので、つねに「白線5セット先」を見て、車間距離も白線5セット開けると良いでしょう。
ちなみに、峠道のセンターラインは切れ目のない黄色や白線の実線の場合も多いので、普段から白線の破線で距離間隔を掴んでおくと良いでしょう。
また峠道は先の見えないブラインドカーブも多く、「白線をスピードの数だけ数えられない(見えない)」という場合があるかもしれませんが、それはそもそもスピードの出し過ぎなので注意しましょう。
遠くを見るためのセルフチェック話の順番が逆かもしれませんが、最後に「遠くを見るコツ」を紹介します。誰でも先の状況は気になるので「遠くを見ろ」と言われるまでもなく、できるだけ先を見ているつもり、というライダーが多いでしょう。
遠くを見るには、しっかりとアゴを引いて、ヘルメットの開口部の上のフチをかすめるように上目使いで前を見るのがコツところが「先が気になる→緊張する→上半身や腕に力が入る→アゴが上がる」というパターンが少なくありません。そして矛盾しているように感じますが、アゴが上がるとなぜか視線が近くに落ちてしまいがちです。
また走行中に路面に浮いた砂や水、荒れた路面に少しでもハンドルを取られてビクッとした後は、その不安から路面を凝視しているうちにどんどん視線が近くなって、気付かないうちに前輪の直前を見ていることも多々あります。
そこで視線が近くならず、遠くを見るコツが「アゴを引いて上目使いで前を見る」ことです。
実際にやってみるとわかりますが、腕を突っ張って上半身を起こした状態(緊張したときになりがちなフォーム)だと、アゴを引いて上目使いで前を見るのはかなり困難です。なので「アゴを引いて上目使い」を頻繁にチェックすれば、自動的に遠くを見るコトができます。
また、アゴを引いて上目使いすると、はたから見てもカッコいいライディングフォームに見えるので一石二鳥(笑)。ぜひお試しを!