W杯出場決定のビーチサッカー日本代表、田畑監督が明かした秘策 「インパクトが残る言葉の方が迷わない」

◇30日 ビーチサッカーアジアカップ 3位決定戦 日本3―1サウジアラビア(タイ・パタヤ)

 ビーチサッカーの日本代表が30日、5月に開催されるFIFA主催ワールドカップ(W杯)の出場権を懸けたアジアカップの3位決定戦でサウジアラビアに3―1で勝ち、W杯出場が決まった。W杯で準優勝の好成績を残した2021年大会以上の成績を目指す。昨年5月に就任した田畑輝樹監督(45)がチームに持ち込んだのは、共通理解のための独自用語。ネーミングは、チェスの駒の動きからヒントを得たりとさまざまだ。

 足元の安定しない砂のコートで瞬間瞬間の素早い判断を連続させるビーチサッカーで、コートに立つ選手5人が動き方の一つずつを選手間で瞬時に共有するための言葉を、日本代表に持ち込んだ。「言葉があることで、よりプレーの成熟度が上がっていく。そのためにプレーを”言語化”している」と説明。「言葉をいろいろなところから探してきている。バスケットボール、フットサル、チェスとか。インパクトが残る言葉の方が、この動きだ! と思って選手も迷わないから」と言う。

 用語の一つが「ブースト」。圧を与えるという意味の英語で、そのままビーチサッカーでは相手に圧力をかけるために後方の選手も含めて「全員で押し上げる」と定義した。2017年からクラブチームのヴィアティン三重ビーチサッカーで監督兼選手だったとき、全員で相手陣に押し込む連係プレーが「相手がやりにくそうで、ちょこちょこうまくいっていた」と振り返る。

 愛用するシューズの商品名が「ウルトラブースト」だったという。「格好いい響きだなと思っていたし、言葉の本来の意味も知っていたので」とチームの共通言語の一つにした。

 チェスから引用したのが、「ビショップ」や「マヌーバ」といった用語。1手ではなく連続するチェスの駒の動きの総称「マヌーバ」にも、連続プレーとともに音の響きとして「チェスにも格好いいのがあったな」とずっと思っていた。

 バスケットボール用語からは「アイバーソンカット」。サッカーでいう斜めの動き「ダイアゴナル」で、田畑監督は娘がよく見るというバスケットボールをヒントに。

 由来は米プロバスケットボールNBAの元選手アイバーソン。「アイバーソンはコートを横断しながらマークをずらしてボールを受け、そこから得点することが得意だった選手で、バスケットボールで使われる用語。ビーチサッカーでもそれに似た動き」と定義した。

 「(用語という)ツールがあればみんなが同じ動きができる。この言葉ならこう動いて、そしたら自分はこう動けばいい。こうしたら今度はどういうサポートをすればいいかわかる。そういうことを(サッカーを始めた)小学生のときから、選手のときにずっと思っていた」と田畑監督。20代のころにサッカーからビーチサッカーに転向し、どちらも瞬時の判断でボールを扱うシーンにおいて選手間の共通理解は必要だと思ってきた。

 ビーチサッカーの代表選手時代にともに戦ってきた監督たちの考え方も反映させている。自身は2007年W杯から8大会連続でW杯に出場。当時の歴代監督は、ビーチサッカーの本場ブラジル出身のラモス瑠偉監督やマルセロ・メンデス監督ら。今も現役のトップ選手として昨年まで日本代表で兼任監督を務めた茂怜羅(もれいら)オズ監督時代を含め、それぞれの考え方を把握しながら「この方はこういうことを大事にしているんだな」と思ってきたという。日本が脈々と表現してきたプレーも受け継ぎながら用語化し、強化につなげてきた。

 ▼たばた・てるき 1979年、鹿児島県出身。鹿児島実高からJリーグではアルビレックス新潟でプレー。地域リーグでも続けながらビーチサッカー転向。日本代表としてW杯は2007年から8大会連続出場した。17年発足のクラブチーム、ヴィアティン三重ビーチサッカーでは監督兼選手を務め(23年退団)、20年に日本代表コーチに就任、監督兼任選手だった茂怜羅オズをサポートした。W杯ではオズが選手登録だったため、コーチとして代行監督を務めた21年W杯は準優勝に導いた。24年W杯はベスト8。24年W杯後に兼任監督を退き選手専念となったオズの後を継ぎ、コーチから監督に就いた。

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