米ニューヨークのタイムズスクエアで5月2日に行われたボクシング・スーパーフェザー級6回戦でプロデビューしたアマチュア9冠で世界ユース王者の堤麗斗(22)=志成=が4日、成田空港着の航空機で帰国した。超大型イベントで4試合のみ行われた公式戦のうちの1つという破格の扱いだった。
レベール・ウィッティントン(25)=米国=に判定3―0で勝利した堤は「いい経験になりました。試合では倒しきりたい思いが強すぎて空回りしていた。もっと丁寧に崩していかなきゃいけなかったところをすっ飛ばしちゃった部分がありました」と、まずは反省を口にした。
ニューヨークのど真ん中に屋外特設リングを設置して行われた超異例のイベント。舞台裏はトラブル続きだった。ホテルからリングまで車で移動して入場する演出だったが、同乗できるはずだったサラス・チーフトレーナーが直前で別の車に乗るよう指示され渋滞で遅れてしまう。
堤はリングに上がったときは陣営が誰もついていない、マウスピースもない状態だったという。最終的にスタッフの1人が予備のマウスピースを持って徒歩で会場入りしたため紙一重で間に合った。他にも、スケジュールや入場方法が二転三転し終始バタバタしていたという。
「いろいろありすぎて、試合のときにはいい意味か悪い意味かわかんないですけど『無』の状態になっていました」と堤は苦笑。そんな試合でも、2回に左オーバーハンドでぐらつかせる見せ場をつくっていた。
今回の米国デビューは、かねて堤に注目していたサウジアラビア総合娯楽庁のトゥルキ・アルシェイク長官が実現させたもの。世界中で多くの大型興行を仕掛け、今回の興行も手がけている現代ボクシングの中心人物だ。堤は4月19日に、同長官がオーナーを務める米リング誌とのアンバサダー契約にサイン。同長官は試合後にSNSで「力を証明する勝利」と堤を称賛した。
その注目度もあり、堤は試合当日の朝にニューヨーク証券取引所で取引開始の鐘を鳴らすセレモニーにも登場。あらゆる意味で異例ずくめのプロデビューだった。「(トラブル続きの)環境を含めて、すごい経験でした。すっきり倒して勝ちたかった思いはありますけど、これを今後に生かせれば、デビュー戦が成長するきっかけになったと思えると思います」と堤。
次戦が海外か国内になるかは現時点で未定。まずは11日の東京・大田区総合体育館で世界ランカー対決を控えるWBAスーパーフェザー級4位の兄・駿斗(25)=志成=のサポートに回る予定だ。