第111回 ショッピングセンターの減少と小型化が進む理由とは

(一社)日本SC協会から2024年のSC概況が発表された。同協会では毎年12月に開催する「冬季定例記者懇談会」において、その年のSCの開業状況などの数値を速報として発表する。今回は、そこから見る近年の傾向と課題、およびSC取り扱い基準の改定について解説したい。

shutterstock_184707047 SCの定義と取り扱い基準

 まず、SCの各種数値をカウントするためには一定の基準が必要だが、同協会では、SCの定義と取り扱い基準を下記のとおり規定している。

【SCの定義】

ショッピングセンターとは、1つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体で、駐車場を備えるものをいう。 その立地、規模、構成に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担うものである。

【SC取り扱い基準】

 SCは、ディベロッパーにより計画、開発されるものであり次の条件を備えることを必要とする。

小売業の店舗面積は、1500㎡以上であること。 キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。 キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。ただし、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1500㎡以上である場合にはこの限りではない。 テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。 

 次に24年の数値の算定根拠についてみていきたい。今回発表された各種数値は先述の取り扱い基準で算定されている。この取り扱い基準は、25年1月1日に改定されたため、今後修正の可能性はあるが、今回の結果はこれまでの基準によって算定されている。

24年に開業したSC数

 24年、新たに開業したSCは36カ所。この数字はコロナ禍で落ち込んだ21年以降、減少傾向にある(図表1)。

 24年に閉鎖(など)したSCと全国のSC総数

 一方、閉鎖などをしたSCは、38カ所となった(図表2)。この数値は閉鎖・閉店になったものに加え、上記の定義や取り扱い基準から外れる施設も含むため「など」と表現されている。

 以上の結果、24年のSC数は、23年の3092カ所から2SC減り、3090カ所となった(図表3)。総数は19年から6年連続で減少している。

開業したSCの面積別の推移

 次に開業したSCの面積別推移を見ていきたい。24年の開業SCの平均面積は、1万858㎡とこれまでと比べ大きく減少した(図表4)。その要因として、5万㎡以上のSCの開業が無かったこと、また開業SCの約7割が1万㎡未満だったことが指摘できる(図表5、図表6)。

 それでは、出店テナントの構成において、何か変化はあったのだろうか?

 SCに出店するテナントの業種別店舗数割合は、近年の少子高齢化を色濃く反映している。24年に開業したSCでは、衣料品10.3%、その他物販25.2%、食物販13.2%、飲食27.5%、サービス23.7%となり、テナント店舗数の半数以上は非物販となっている(図表7)。今後、賃料負担率の低下は避けられないだろう。

減り続けるSC

 これらのデータから読み取れる24年のSCの状況は以下のとおりである。

(1)継続的なSCの減少

 SC総数の継続的な減少は、

①新規開業の減少

②建て替えや市場環境による閉鎖

③SC以外への不動産用途への転換

などが主な要因だが、今、深刻なのは工事費の高騰である。この影響から新規プロジェクトの見直し、建て替えの取り止め、規模の縮小化などの事例が多く、新規開業の足かせとなっている。

(2)小規模化するSC

 工事費の高騰や少子高齢化による市場の縮小を背景に、新規開業SCの平均面積も縮小している。近年、SCの利回りが他の不動産用途に比べ劣後することから、開発の複合化も増加。その結果、「オフィスの足元商業」「下駄履きマンション」などの下層階物件が増加している。

(3)日本のSC

 少子高齢化、人口の減少、ECの進展、都市への人口集中、工事費の高騰により、日本全体でのSCの開発余力は低下している。都市部ではインバウンド需要を享受する施設はあるが、購入頻度が高く、日常の生活行動圏内で購入する性質が高い商品を多く取り扱うSCはその恩恵を受けることは少ない。

(4)今後の展望

 2000年から続いたSCの好調ぶりは、残念ながら、近年ではその勢いを失っている。むしろ、25年は24年以上に開業数が減少することが予想されている。

 今後、SCの「S」、これをショッピングと規定し続けることは難しく、既に24年は飲食とサービスの比率が大きく伸びている。この環境をチャンスと見て、新たなSCモデルを構築することが必要だろう。

取り扱い基準改定の意味するところ

 25年1月1日に改定された取り扱い基準による算定では、41カ所が新たにSCとしてカウントされ、上述したSC総数3090カ所は、3131カ所になると発表されている。この改定の意味や目的については本連載107回に詳述しているので参照されたい。

NO.

現行

改訂後

①   

小売業の店舗面積は、1500㎡ 以上であること

小売業の店舗面積は、1000㎡ 以上であること

②   

キーテナントを除くテナントが10 店舗以上含まれていること

テナントが10 店舗以上含まれていること

③   

キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。 但し、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1500㎡以上である場合には、この限りではない。

最大店舗の面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。但し、最大店舗の面積を除いた小売業の店舗面積が1000㎡以上である場合には、この限りではない

④   

テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること

広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること

西山貴仁 
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

小田原市商業戦略推進アドバイザー、SCアカデミー指導教授、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒

著者:西山 貴仁

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