高額療養費制度は、医療費の自己負担が家計に過度な負担とならないよう、1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合に、その超過分が支給される仕組みです。この制度により、多くの方が安心して医療サービスを受けることができています。
しかし、近年の高齢化や高額な薬剤の普及に伴い、高額療養費の総額が年々増加しており、その結果、現役世代を中心とした保険料の負担も増加しており、制度の持続可能性が課題となっています。
このため、セーフティネットとしての役割を維持しつつ、全世代の被保険者の保険料負担を軽減する観点から、制度の見直しが行われることとなりました。
今回の見直しでは、所得区分ごとに自己負担限度額が引き上げられます。ひと月の自己負担額を決める所得区分は細かく設定されており、ここでは65歳の「年収約370万〜510万円」と「年収約510万〜650万円」のケースを表1〜表4にてご紹介します。
表1
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」を基に筆者作成
表2 医療費が100万円かかった場合の自己負担額:
※筆者作成
表3
出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」を基に筆者作成
表4 医療費が100万円かかった場合の自己負担額:
※筆者作成
具体的な引き上げ幅は所得区分によって異なるため、ご自身の所得区分を確認し、自己負担額の上限を把握しましょう。
医療費負担の増加に備えるため、以下の対策が考えられます。
・限度額適用認定証の活用
・医療保険や共済の活用
・医療費控除の活用
「限度額適用認定証」を取得すれば、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられ、高額な医療費を一時的に立て替える必要がありません。この手続きの代わりに、マイナ保険証を提出し、「限度額情報の表示」に同意することでも、同様の対応を受けられます。
また、民間の医療保険や共済に加入することで、公的制度では補えない部分の負担を軽減できます。もし年間の医療費が一定額を超えた場合は、確定申告で医療費控除を受け、所得税の負担を減らしましょう。これらの対策を組み合わせることで、医療費負担の増加に備えることができるでしょう。
高額療養費制度の見直しにより、自己負担額の引き上げが予定されていますが、これは制度の持続可能性を確保し、全世代の負担を公平にするための措置です。
この記事で解説した対策を活用し、適切な準備を行うことで、医療費負担の増加を最小限に抑えられます。最新の情報を収集し、ご自身の状況に合わせた対応を心がけましょう。
厚生労働省保険局 高額療養費制度の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー