39歳までの会社員ならNISAを優先!iDeCoと迷った時の5つの判断基準をFPが解説【チェック表付き】

NISAとiDeCo、やったほうがいいのは分かっていても、自分にはどちらが必要なのか判断できないという人も少なくないだろう。FPの坂本綾子さんは、5つの判断基準で見極めていくべきだと説明する。

話題のNISAとiDeCo。いずれも税金が優遇されるので、お得な投資の口座として、よくセットで取り上げられます。しかし、この2つにはけっこう大きな違いがあります。どちらが自分に向いているのか、悩んでいる人もいることでしょう。

また、NISAとiDeCoは併用もできますが、投資に回せる金額があまり多くないので、どちらかを選びたい人もいることでしょう。どちらを優先すればいいかは、年齢や立場により違ってきます。その理由であるそれぞれの特徴も含めて解説します。

向き・不向きを表でチェック

まず、大まかな基準を表にまとめました。

さて、あなたはNISAかiDeCo、どちら向きでしょうか。

実際には、例えば40歳未満の会社員で、貯蓄はあまりなく、退職給付制度はそこそこ充実しているとか、40歳以上の個人事業主で、貯蓄はけっこうあるが、会社員でないため退職給付はないなど、1人の人に複数の要素があります。

複数の要素をもとに、自分がどちら寄りかを判断することになりますが、悩ましい場合は、NISAとiDeCoそれぞれの特徴をしっかり把握した上で選んでください。

スタート時にどちらかを選び、ずっと選んだほうだけを使うのもありですし、年齢が上がったり収支に余裕が生まれたりするなど条件が変化したら使っていない方を追加するのもありです。また、最初から併用するけれど、金額はどちらかを多めにすることで自分の状況に合わせる方法もあります。

では、5つの基準の理由を説明します。

40歳未満で貯蓄が少ない人はNISA

【1】年齢

いったん口座に入れて投資しているお金を、解約して現金として引き出せるかどうか、ここが大きなポイントです。NISAはいつでも売って(解約して)現金として引き出すことができます。一方、iDeCoの口座に入れたお金は60歳以降でなければ引き出すことができません。

iDeCoは老後資金を準備することに特化した口座だからです。若いときは、老後資金以前に、自己投資や、結婚・出産、住宅購入などにお金が必要になります。

自分名義のお金なのに60歳まで引き出せないiDeCoは(だからこそ老後資金を確実に準備できるともいえるのですが)、40歳以降でもよいのではないでしょうか。

【2】貯蓄

理由は、年齢と同様です。貯蓄が少なく、突然お金が必要になった時に使えるお金が少ない人はiDeCoよりもNISAが向いています。そもそも貯蓄が少ない人は、安全資産である預金を増やすのが優先。NISAを使いながら、並行して定期預金の積立も行いたいですね。

【3】収支

収支に余裕がなくて、毎月の積立に回せる金額は少ないけれど投資をしたいなら、NISAのつみたて投資枠がいいでしょう。NISAは様々な金融機関で取り扱っていますが、毎月1000円から積立てられる金融商品がけっこうあります。中には100円から積立てできるものも。

iDeCoを取り扱う金融機関もたくさんありますが、毎月の積立金額は最低5000円からです。また、iDeCoは60歳まで引き出せません。収支に余裕がないため、急にお金が必要なときに使えるお金が限られている人は、いつでも解約できるNISAがいいでしょう。

会社員はまずはNISAからがお勧め

【4】働き方

NISAとiDeCoの仕組みを比べると、NISAは単純、iDeCoは複雑です。

NISAは一般の投資口座と異なり、利益にかかる税金が非課税になります。また仕組みは単純で、日本に住む成人(18歳以上)なら誰でも利用でき、年齢の上限はありません。年齢や立場を問わず使いやすいのです。ただし、NISAでどんな投資をするかはしっかり考える必要があります。

一方、iDeCoは利益にかかる税金が非課税になるのはNISAと同じですが、受け取り時は課税の対象です(後述)。また掛金を所得控除することで加入中の所得税や住民税を節税できるメリットがありますが、これには手続き(年末調整や確定申告)が必要です。

利用できる年齢には下限と上限があります(公的年金に加入する20歳以上で、立場により60歳未満または65歳未満)。

さらに、立場により毎月の掛金額の上限が異なり、掛金から手数料を引かれます。

会社員の場合、勤務先に企業型の確定拠出年金が導入されているなら企業型を考慮しながら個人型の確定拠出年金であるiDeCoを利用することになります。

そして最も気を付けたいのが受け取り方法と受け取り時の税金です。iDeCoを受取るときは増えた分を含めた受取額全体が課税の対象になります(詳細は後述)。

優遇措置もありますが、優遇措置を使う場合、会社員は勤務先の退職給付との兼ね合いを考える必要があります。

つまり、iDeCoを使うなら、あらかじめ出口戦略を立てておいた方がいいのです。会社員は検討すべき要素が多いので、まずはNISAから始めて、退職給付の状況に応じてiDeCoを利用するかどうか考えるといいでしょう。

個人事業主は、そもそも退職給付がないので、iDeCoのみで判断できます。受け取り時の優遇である非課税枠も個人事業主の方が活かせます。

ただし小規模企業共済に加入している人は注意が必要です。小規模企業共済は個人事業主の退職給付にあたる制度なので会社員の退職給付と同じ課題が生じます。

iDeCoは「もらい方」が重要

【5】退職金制度

上記のとおり、iDeCoを使う際は出口戦略が重要です。

60歳以降の受け取りの際、iDeCoを一時金で受け取ると退職所得控除(退職金をもらっても一定額までは非課税になる、例えば勤続38年の人なら2060万円まで非課税)の対象ですが、勤務先の退職金とiDeCoを同時期にもらう場合は合算してこの非課税枠を使うことになります。

会社の退職金だけでかなりの金額になるなら、それだけで枠をほぼ使ってしまう、あるいは枠をはみ出すケースもあるでしょう。そうするとiDeCoの受け取りにけっこう税金がかかってきます。

iDeCoは年金形式でもらうこともでき、その場合は公的年金等控除の対象ですが、公的年金や、他にももらえる企業年金があれば全部を合算して公的年金等控除額を計算します。

会社員で公的年金(厚生年金)も企業年金もそこそこもらえる人は、合算して計算する所得が増えて、年金生活を送る際の所得税・住民税、ひいては国民健康保険料や介護保険料が高くなります。

つまり、勤務先の退職給付が充実しているならNISAを優先させた方が将来の税金や社会保険料を減らせる可能性が高くなります。

逆に、勤務先の退職給付が充実していない人は個人事業主に近いので、iDeCoを活用することで老後資金を準備できます。

さて、いかがでしょうか。

しっかり頭に入れておきたいのは、税金のかかり方の違いです。

税金のかかり方が違う理由

NISAは金融庁の管轄です。金融商品(株式や投資信託)を使って投資をするための口座です。そして、通常の投資なら利益にかかる約20%の税金が非課税になります。当然ですが他の金融商品と同じく元本には税金はかかりません。元本はもともと自分のお金だからです。

iDeCoは厚生労働省の管轄です。金融商品(投資信託や預金や保険)を使って運用できますが、あくまで老後資金を準備するための年金なのです。だから、公的年金と同様に現役時代に払う掛け金は所得控除をすることができますが、受け取るときは利益の部分のみならず元本部分も含めて受け取りの総額が課税の対象です。

元本部分はもともと自分のお金ですが、現役時代に所得控除してもらうことで税金が安くなっているからです。iDeCoは公的年金と同じ扱いになるのです。年金形式ではなく一時金でも受け取れるのは、年金原資を一括で受け取るということです。

iDeCoは個人型の確定拠出年金の愛称で、確定拠出年金の制度は2000年代に入ってから始まりました。その後、何度かの改正が行われています。

iDeCoはもともと勤務先に企業型の確定拠出年金がある人は使えませんでした。制度改正により、企業型とiDeCoを併用できるようになり、さらに掛金額も以前より上限が上がりました(ただし、勤務先の企業型確定拠出年金でマッチング拠出をしている人はiDeCoを使えません)。今後も制度改正があることを前提に、ニュースなどに注意しながら付き合っていくことになるでしょう。

このようにNISAとiDeCoは、監督官庁も仕組みも大きく違うのです。

今回のまとめ

若くて会社員で勤務先にそれなりの退職給付制度があるなら、まずはNISAの非課税枠(生涯枠1800万円)を埋めていくことから始めてもいいでしょう。

個人事業主なら、退職金代わりにiDeCoを活用してはいかがでしょうか。NISAとiDeCoを併用する場合は、ここまでの説明を踏まえて比率を検討してください。

iDeCoは仕組みが複雑で、受け取り時に税金がかかる場合は額面よりも手取りが減りますが、老後資金を増やせることには変わりありません。現役時代の給与が高い人ほど、掛け金の所得控除による現役時代の節税効果が高くなるメリットもあります。

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