●アンフィールドでのスロット体制初陣を勝利で飾る
プレミアリーグ第2節、リバプール対ブレントフォードが現地時間26日に行われ、2-0ホームチームが勝利。結果、内容、展開とさまざまな面から見ても完璧な90分間だった。リバプールが新体制で好スタートを切ることに成功したのは間違いないが、その中で若干の不安要素もブレントフォード戦では浮き彫りとなっている。(文:安洋一郎)
【動画】リバプール vs ブレントフォード ハイライト
リバプールにとって理想の90分間だった。
アンフィールドにブレントフォードを迎えてのホーム開幕戦でアルネ・スロット新監督のチームは2-0の快勝を収めた。
2節終了時点で開幕から失点がないのはアーセナルとリバプールの2チームのみ。一昨季は47失点、昨季は41失点(いずれもリーグ戦)と、彼らの基準では失点が増えていた直近の2シーズンと比較すると守備での安定感が出てきているように思う。
ブレントフォード戦は試合運びも理想的で、13分という早い時間帯に先制点を奪い、70分にはダメ押しの2点目を記録。プレミアリーグではアンフィールドで得点を決めたことがないアウェイチーム相手に勝利を確実なものにした。
その中で指揮官の交代策も長いシーズンを見据えたものとなり、追加点が生まれた直後の72分にルイス・ディアスとディオゴ・ジョタ、そしてユーロ(欧州選手権)から合流間もないトレント・アレクサンダー=アーノルドをベンチに下げた。
その後も追加点を決めたモハメド・サラー、ライアン・フラーフェンベルフと主力選手をベンチに下げる中で、試合の運び方としてはリスクを犯さずに自分たちでボールをコントロールする機会を増やした。より直線的にゴールを狙っていた前半との比較では、後半はボールを回す機会が圧倒的に増えており、実際にパス成功数も250本から352本へと増えている。
リバプールからすると、欲しい時間帯でゴールを奪い、最後は主力を下げた上でリスクを犯さずに試合をコントロールすることができた理想のゲーム展開だったと言えるだろう。
ホームサポーターからの信頼を得るためにも大きな勝利となったが、スロット体制における今後の不安要素が見える瞬間もあった。
●ほぼ完璧な試合でみせた不安要素
開幕からの2試合でスロット新監督が発揮した手腕は間違いないものがあり、すでにチームに自らの戦術を落とし込んでいる。すでに怪我人などのアクシデントがなければ何らかのタイトルを獲得してもおかしくない完成度にあるが、対強豪との試合に向けてはやや心配なことがあった。
それが右WGのモハメド・サラーの守備意識の低さだ。リバプールは被保持に中盤のドミニク・ソボスライを一列前に上げた「4-2-4」のブロックを組んでからプレッシングを行う。サラーは右サイドの守備を任されているのだが、プレスバックの意識が低いのか自陣に戻って守備をする機会がほとんどない。
実際にデータサイト『Sofascore』の試合における「各選手の平均ポジション」を見ると、サラーだけがダントツで前残りのしている形となっている。ブレントフォードの左SBが本来CBのクリストファー・アイェルだったことも影響しているかもしれないが、自陣にまで戻ってカウンターの起点となる守備をみせる左WGのルイス・ディアスと対照的な姿勢がやや悪目立ちしてしまう場面もあった。
サラーが守備で遅れると、ボランチの選手がスペースを埋めるためにサイドに流れる機会が増え、結果的にポジションのズレが生まれる。彼の守備意識の低さが、この試合で致命的なダメージを与えることはなかったが、よりチームとしての力が拮抗している場合は自陣に押し込まれる展開が増えて、必然的に守備をする機会が増える。
マンチェスター・ユナイテッドとの次節は一つ試金石となる試合になるかもしれない。
●サラーの守備意識の低さを解決する方法
この問題を解決する方法は主に2つあるだろう。
1つ目はシンプルにサラーに守備をしてもらうこと。しかし、現在32歳のベテランにフィジカル的な負荷が大きいサイドの守備をタスクに与えることは現実的とは言えず、守備での負担が増えることで肝心のゴールが減ってしまう可能性もある。
2つ目はサラーの代わりを見つけてくること。筆者としては、契約延長の可能性も残されているが、今季限りで契約満了となるエジプト代表へのチームとしての依存度を徐々に下げていくフェーズにあると考えている。
後任がサラーを師匠と仰ぐハーヴェイ・エリオットになるのか、それとも他クラブから即戦力を加えるのかわからないが、彼が今季限りで退団するとなればその後釜の育成は重要になるだろう。今夏に新戦力を加えないのであれば、エリオットの出場機会を増やしても良いと思う。
昨シーズンにエリオットはチームで唯一となる全58試合でメンバー入りを果たしていた。しかし、与えられた出場時間は全体の52.8%にあたる2786分のみ。ユルゲン・クロップ前監督も「ただ一つだけ後悔していることがあるとすれば、エリオットに十分なプレー機会を与えられなかったことだ」と、この21歳の若手MFへの起用法をめぐっては後悔の念があったようだ。
まだ開幕直後ながら、今シーズンもエリオットは引き続き出場時間に恵まれていない。開幕戦では出番なく、第2節ではサラーに代わって83分から出場に留まった。
そもそもスロット新監督がエリオットの最適なポジションを右WGと捉えているのか、それともソボスライのポジションと捉えているのか現時点ではわからないが、いずれにしてもサラーの代わりとなれる選手を探し、育てる宿題は残されている。
リバプールの場合は、冬加入のルイス・ディアスやコーディ・ガクポが問題なくチームにフィットした前例があるため後釜探しに焦っていないのかもしれないが、サラーの守備に問題がありそうなことを踏まえると、早めに代役を育ててレジェンドへの依存度を徐々に減らしていくのが得策になるのではないだろうか。
(文:安洋一郎)
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