【MotoGP】ホンダMotoGPの現状、課題は一体なに? マネージャーのアルベルト・プーチに私生活から仕事まで根掘り葉掘り

 ホンダMotoGPのチームマネージャーであるアルベルト・プーチは、ホンダの地獄への転落を内側から経験している。彼がどうチームを立て直していくか、多くの質問を受け、何度もコメントしてきているが、彼の私生活についての話を聞くのは新鮮な体験になるだろう。

 ロードレース世界選手権を計125戦戦ったプーチが、ホンダのチームマネージャーになってから7年目を迎えた。2024年、ホンダはコンストラクターズランキングで最下位に終わり、ファクトリーチームもチームランキングの最下位に沈む、最悪のシーズンとなった。

 それでも、57歳のプーチは日本人だけで構成される経営陣とレーシングチームの橋渡し役として起用され続けている。

 彼は一体どんな人間なのだろうか?

Q. グランプリのない週末はどこにいますか?
「いつもは山の中にある実家にいる。レースがないときは、そこに行くようにしている。周りにあまりモノがないからね。とても健康的な環境だよ」

Q. そこで何をしているんですか?
「できるだけ自転車に乗るようにしているし、敷地内にサーキットがあるからモトクロスバイクを持っていくこともある。特別なことは何もない」

Q. バイクは何台持っていますか?
「バルセロナで住んでいるアパートには、私が初めて競技に使ったJJコバスのバイクがあるんだ。あのバイクは、私の家族が買ってくれた唯一のバイクなんだ」

「このバイクでヨーロッパ選手権に出場したし、世界選手権のテストにも参加した。そのバイクは3、4年前、私がリビルドする決心をするまで、25〜30年間ほとんど壊れたまま家のガレージにあった。レストアをやってくれる友人のところに持っていって、それ以来リビングルームに置いてあるんだ」

Q. 長い年月を経て、なぜ修復しようと思ったのですか?
「ある日、実家のガレージに行ったら、放置されていたのを見たんだ。私のキャリアの中で、唯一手元に置いてあるものなんだ」

Q. レース以外ではバイクとどのような付き合いをしていますか?
「日常的にオートバイを利用している。いつもバイクで街中を移動している。ホンダのスクーピーを17年間乗っているが、何の問題もない。街乗りには最適なタイプのバイクだよ」

Q. 自分に許した直近の贅沢は?

「物にはあまり執着がないんだ。せいぜい何かにお金を使うとしたら、とても高価になった自転車くらいかな」
Q. 自分がまだライダーであることを夢見ることはありますか?

「今でもライダーとしてのメンタリティは持っていると思う。この環境とつながっていることで、それを忘れることはない。引退した日から、ラップタイムとレースというインプットは変わらない」

「ライダーであったなら、それを忘れることは難しい。他の役割でパドックの中で働いていたなら、少しは楽かもしれない。でも、私がこのパドックに入ったのは37年前で、それ以前からすでにレースをしていたんだ」

Q. 日々の生活において、パフォーマンスはどのような役割を果たしていますか?

「私たちの生活はパフォーマンスを中心に回っている。スピードと結果だ。最終的に重要なのはそれだけだ。もちろん、他にも重要なことはあるが、ブランドにとってもライダーにとっても、すべては日曜日の午後の結果に集約される」

Q.ペドロ・デ・ラ・ロサとはいとこですね。競争心の強い子ども同士で育ったのはどんな感じでした?

「面白いのは、このインタビューでレースのない週末に何をしているかと訊かれて、山の中にある実家にいると話していたことだ。彼の母親と私の母親は姉妹で、家は200mしか離れていない隣人なんだ。彼は私よりも4〜5歳年下だが、私は何年もそこをバイクで走り回っていたし、彼はいつもラジコンカーに夢中になっていた」

「彼はカートを始める前に、ヨーロッパチャンピオンになっていたこともあったと思う。その後、彼は日本でレースに出て、ふたりともレースの世界で育ってきた。会う度にレースの話をしているんだ。彼はF1について、私はMotoGPについてね。レース以外のことを話すのは難しい」

Q.ロマーノ・アルベシアーノがテクニカルディレクターに就任しましたが、MotoGPにおけるホンダの立てた戦略はどんなモノ?

「我々が今設定している唯一の戦略は、バイクを改善することだ。そこがスタート地点だ。それを実現するために、ホンダは使える全てのリソースとテクノロジーを割り当てている。私が話しているのは単に財務リソースだけではなく、人材についてもそうだ。それこそが、ロマーノを迎え入れることを決めた理由だ。まずはバイクを改善しなければならない。厳正なプランは無いが、我々は自分たちのレベルがあるべきものではないと理解しているし、日ごとにできることを全て行なっている」

Q.ホンダはF1ではレッドブルと組んで勝利しています。そこから何かアドバンテージを得ていくプランはありますか?

「明確にしておくべきことがあると思う。ホンダはF1では勝っているが、クルマとバイクは同じモノではない。ホンダは(F1で)エンジンを供給しているが、レッドブルはクルマを設計する素晴らしいチームなんだ。我々の場合は、ホンダがバイク全体を取り扱っている。コンセプトは異なっているが、どちらもHRCの管轄にある。F1が我々にもたらすことのできるリソースを活用しようとしているし、それを結びつけようとしているところだ」

■2027年まで待つことはできない

Q.既にヨーロッパに本部があるのですか?

「ヨーロッパでの可能性は評価している。だが現時点では何も決まったことはない。バイク開発においてアイデアを実装していくプロセスを加速するのがその目的なんだ。反応速度を縮めたいと思っているが、今欧州では興味深い技術的な選択肢も存在している」

Q.新型コロナウイルスで、現在のヨーロッパメーカーと日本メーカーとの間にあるギャップを説明できると思いますか?

「あるひとつの要素で指摘するのは複雑なことだが、ヨーロッパのテクノロジーが、バイクの様々な領域で最近大きく発展しているのは確かだ。我々のクルマは四輪ではなく二輪だから、非常に正確でなければいけない。これだけ電子的システムが導入されていても、あるひとつの要素で上手くいかなければ、パフォーマンスを発揮することはできない。ヨーロッパ勢はバイクのあらゆる部分で前進しているが、日本メーカーは技術者が日本へと飛ぶことができず、コロナの影響をより受けたことは確かだろう」

Q.テストライダーとしてアレイシ・エスパルガロには何を期待していますか?

「彼は経験豊富な人物で、バイクについてのコメントはとても明快だ。偉大なブランド(アプリリア)で素晴らしい結果を達成してきた。そういったライダーはアイデアを持ち込んでくれるし、ネガティブなことは何もない」

Q.表彰台争いを繰り広げてきたばかりのエスパルガロですが、彼がコース上でもたらすスピードの重要度はどのくらいですか?

「彼はラストレースのバルセロナでも決勝で表彰台を争っていたが、それはとても重要だ。パーツを適切にテストするためには、速い事が必要なんだ。パーツのテストでは様々な試験が行なわれるが、真のポテンシャル、パフォーマンス、スピードを評価する必要がある。そのためには限界で走れる力のあるライダーが必要なんだ。アレイシはまさにそうしたライダーであり、ホンダにとっても他のライダーにとっても彼の加入は良いことだ」

Q.アレイシは他のホンダライダーの尻を叩くことになると思いますか?

「それはとても重要なことだが、どのブランドでも同じだ。例えばKTMでテストライダーをしているダニ・ペドロサでもそういった姿を見た。多くの場合、彼はオフィシャルライダーよりも速かった。そういうのはレギュラーライダーにとってはいい気持ちではないかもしれないが、中長期的には自分を良くすることにもなるため、良い事だろう。テストライダーがレースに出るとき、彼らは他のライダーにプレッシャーをかけようとするべきだ。それがレースであり、誰もがそれを受け入れなくてはならない」

Q.元ライダーとして、今のバイクに搭載されているデバイスについてはどう思っていますか?

「議論も呼んでいるようだね。いくつかの点では良いが、他にあまりそうではないという点もある。バイクの安全性に関しては改善点が数多くあった」

「以前は電子制御がほとんどなく、我々ライダーは週末に2ストロークエンジンでかっ飛ばしていた。トラクションコントロール=自分の手であり、少しやりすぎると限界を越えてしまった。だが近年は大きく進化していることも確かではあるし、我々はこのスポーツがとても興味深く見ごたえのあるものにしている本質を見逃してはならない。バイクがライダーよりも重要になる状況になってはいけないんだ。それが私の個人的な意見だ」

「チャンピオンシップとメーカーがその本質を維持していくために必要な妥協点を見出すだろうし、最高のライダーの重要性は今後も変わらず、ファンもライダーを見分けることができるだろう。例えば、今のF1ではそういったことが完全に起きているようには見えないと思う」

Q.2027年からの新規則では、最速のライダーと他のライダーで差が広がると思う?

「各ブランドは常にバイクを速くする方法を見つけていくだろう。コントロールやいくつかのデバイスが減っても、それは問題ではない。今すぐその質問に答えるのは難しいが、ホンダとしては2027年まで前進を待つことはできないし、来年について考えなくてはならない」

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