”勝てる体制”の維持に動いたマクラーレン。ピアストリとの長期契約はライバルへの意思表示

 マクラーレンはオスカー・ピアストリとの契約を複数年延長したことを発表。これは今や勝てるチームとなったマクラーレンからの引き抜きを狙うライバルチームに対する、明確なメッセージとなる。

 ピアストリはデビューイヤーだった2023年の活躍により、すでに2026年までの契約を得ていたため、今回の発表における”複数年の契約延長”という言葉から、少なくとも2028年までマクラーレンに在籍することが示唆されている。

 マクラーレンは以前から、彼とランド・ノリスが将来的にワールドチャンピオンになるために必要な資質を備えていると主張してきた。そして、2024年にノリスのタイトル獲得をサポートするよう要請した際のピアストリの対応については、高く評価している。

 ノリスはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とのタイトル争いで注目を集めたが、ピアストリも初優勝を含め2勝をマーク。一方、アップダウンの激しい2024年シーズンを終えて、1周アタックでもロングランでも安定したパフォーマンスを発揮できるようにするという宿題を残した。

 23歳のピアストリの全盛期はこれから訪れる。マクラーレンは確実にその恩恵にあずかれるようにしたが、それと同じくらい重要なのは、このオーストラリア人ドライバーとの新契約が、勝てるチームをバラバラにしようとしているライバルたちに対する明確なサインとなることだ。

「マクラーレンのドライバーをひとり獲得できるとしたら、どちらのドライバーにする?」

 Netflixの『Drive to Survive』のプロデューサーは、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーがぼそりと答えをつぶやく前に、かろうじて質問を言い切った。

 そしてホーナーの答えは「オスカーだ」だった。

 レッドブルがピアストリに興味を持ったのは今に始まったことではなく、ホーナーはチャンスがあったときにピアストリを引き抜かなかったことを後悔している。

 そして昨年レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコが、ピアストリのマネージャーであるマーク・ウェーバーが”ピアストリの将来”について話したがっていると漏らしたことで、ピアストリの去就は再び憶測の的となった。

 当時、ピアストリはマルコのコメントを否定していたが、マクラーレンはルーキーシーズンを終えたばかりのピアストリと契約延長を行なった。今回も同じように契約が切れるよりもかなり早い段階で、マクラーレンは貴重な、チームの未来を背負う若いドライバーを確保することにした。

 この10ヵ月でF1界を席巻したマクラーレンは今、勝てるチームを維持するという難題に直面している。これは主なライバルであるレッドブルも苦戦している課題であり、マクラーレンはレッドブルからまずデザイナーのロブ・マーシャルを、そして戦略チーフのウィル・コートネイを引き抜いてその一翼を担った。

 先月、マクラーレンは空力担当テクニカルディレクターのピーター・プロドロモウとの契約を延長した際、特別にプレスリリースを発行した。この少し変わった動きやピアストリとの新たな契約は、マクラーレンが不安定になったり、弱体化するような隙をライバルに与えたくないという意思表示だ。

 2025年のシーズンが始まる前にピアストリと契約を延長することで、マクラーレンは2026年にレギュレーションが変更され新たな時代に突入する際に、両ドライバーが去就をめぐって雑音や憶測の対象にならないようにした。

 マクラーレンは今後何年にもわたって理想的なドライバーコンビを見つけることができたと感じており、ふたりのナンバーワンドライバーで成功を続けることができると信じている。昨シーズン終盤、ピアストリがノリスをサポートしたのは状況に応じた判断であり、もしピアストリがノリスの立場だったら彼も同じサポートを受けていただろう、とマクラーレンは常々主張している。

 マクラーレンが勝てるチームを維持しながら、その難しいバランスをうまく取ることができるかどうか、答えは時間が経たなければ分からない。ピアストリの長期契約更新は、彼やチームがそれを可能だと感じていることを示唆している。

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