千葉県警は先日、県内51か所の交差点において「交通規制の効力がない」状態で交通取り締まりをしていたと発表しました。該当するのは6年間で589件だったと言いますが、具体的にはどのような事案だったのでしょうか。
なぜ交通取締りをしたのに…無効になったの? 千葉県警は2月25日、県内51か所の交差点において、「交通規制の効力がない状態」で原付バイクの二段階右折の違反を取り締まっていたと発表しました。
あまり聞き慣れない「交通規制の効力がない状態」ですが、具体的にはどのような事案だったのでしょうか。
本来「一時停止」や「駐車禁止」などの交通規制をするためには、あらかじめ交差点を指定して警察内部で決裁を受ける必要があります。
しかし、今回の事案ではそれらの手続きがおこなわれておらず、交通規制が有効でない状態が続いていました。
しかし2024年7月に千葉県白井市内の交差点で取り締まりをした際、「必要な決裁がおこなわれていないこと」に職員が気づき、これを受けて県内の交差点を調査したところ、89か所の交差点で決裁の手続きがとられていなかったことが発覚。
2024年10月にすべての交通規制を是正したものの、このうち51か所の交差点において、2019年1月〜2024年8月までのおよそ6年間に589件の取り締まりが行われていました。
そのため、対象者には合計321万円の反則金を納付しましたが、この取り締まりにより、免許取消しや免許停止の処分を受けた人もいたということです。
なお手続きの不備が生じた原因について県警は、「道路の拡張工事によって車線が増えた際、道路管理者との情報共有が不十分だった」と説明しています。
県警は今後、取り締まりを受けた人の処分を取り消すほか、個別に連絡をとって反則金や講習手数料の返還といった手続きを進める方針です。
このニュースに対してインターネット上では「免許取消しなどで仕事を失った人もいるのでは?」、「点数の取り消しや反則金の返金だけで済むのか」など憤りの声が上がったほか、「交通違反ってきちんと手続きした場所じゃないと取り締まれないんだね。知らなかった」という驚きの声も聞かれました。
実は、手続きの不備によって交通規制が無効になる事例はこれまでにもたびたび発生しています。
たとえば2020年には、静岡県警が正式な変更手続きを経ていない道路標識に基づいて一時停止の違反を取り締まっていたことを明らかにしました。
この事例は、道路整備によって道路形状が変わった際、県公安委員会の決裁を受けずに一時停止の標識を付け替えたものであり、取り締まった67人に違反点数の取り消しや反則金の返還などをおこなっています。
また2023年には手続きの不備ではないものの、ドライバーから道路標識が見えない状態で横断歩行者等妨害等違反を取り締まっていたとして長野県警が謝罪し、後日違反を取り消して反則金を返還するなどの措置をとっています。
実は標識には厳格な取り決めが存在! 「一時停止の道路標識はないが、止まれの道路標示がある場所」はどうすればいい?意外と知られていませんが、道路標識は道路交通法施行令第1条の2第1項の規定により、歩行者やクルマなどから「見やすいように」設置することが義務付けられています。
そのため、道路標識がすべて木で覆い隠されていたり、劣化によって見えなくなったりしている場合は適法かつ有効な交通規制がおこなわれているとはいえず、一般的に交通違反には当たらないと考えられています。
上記の長野県警の事例では、横断歩道標識があることを示す青色の道路標識がドライバーから見えやすい場所に設置されていなかったことから、「検挙するのが妥当ではない」と判断されたものとみられます。
さらにドライバーが困惑しやすいものとして、「一時停止の道路標識はないが、止まれの道路標示がある場所」が挙げられます。
実はこのように止まれの道路標示しかない場合、厳密にはドライバーに一時停止の義務はありません。
その理由は、止まれの道路標示はあくまで「指示標示」であり、一時停止を義務付ける法的な効力がないからです。
とはいえ、一時停止線がある場所では出会い頭の事故も多いため、しっかりと止まる意識を持つことが大切です。
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法的な効力がない道路標識であれば、それに従わなくても交通違反には当たりません。
ただし交通規制標識は多くの場合、交通事故を防止する目的で設置されていることから、有効かどうかにかかわらず標識をよく確認し、安全運転を心がけましょう。