アウディ新型「A5」シリーズが発売されました。アウディの中核となるモデルですが、どのようなクルマなのでしょうか。くるまのニュース編集部員が試乗してみました。
従来の「A4」が「A5」に変化? どんなクルマ? アウディは2025年2月17日、新型「A5」シリーズを発売しました。従来の「A4」に代わるアウディの中核モデルですが、どのような進化を遂げたのでしょうか。
早速編集部員が試乗してみました。
新型A5の前身となるA4は1994年の登場以来、アウディのベストセラーモデルとして5世代にわたってラインナップされてきました。
今回のフルモデルチェンジで大きな変化といえば、A4の派生モデルとして展開されていたクーペモデル「A5」の名称が用いられたことです。
これはアウディのブランド全体で、電動モデルと内燃機関(ICE)モデルで車名を分けたことによるもので、電動化への取り組みの加速を感じさせます。
これに伴い、従来のA5もシリーズに統合。独立トランクを持つ4ドアセダンが消滅し、A5専用だった5ドアクーペ(従来の名称はA5スポーツバック)が基本スタイルになりました。
なお、従来からA4で設定されてきた人気の5ドアステーションワゴン「A4アバント」は、新たに「A5アバント」として継続設定され、これまで通りの2本立てのラインナップとなりました。
なお先代A5シリーズにラインナップされていた2ドアクーペとカブリオレは今のところ登場していません。
さて、新型A5はA4から数えると通算6代目。実に9年ぶりのフルモデルチェンジです。A5としては3代目にあたります。すでに2024年7月に、ドイツ本国で発表されていますが、今回7ヶ月遅れで日本へ導入されました。
新型ではプラットフォームに新世代の「PPC(プレミアムプラットフォームコンバッション)」を採用したほか、内外装デザインの一新やデジタル化、新たなマイルドハイブリッド採用などパワートレインのアップデートを図っています。
ボディサイズは全長4835mm×全幅1860mm×全高1455mm(アバントは1470mm)、ホイールベース2895mm。
先代A4と比べると、ホイールベースを70mm延長したことに加え、A5はリアハッチを持つファストバックスタイル、A5アバントはシューティングブレークの流麗なシルエットを採用。ノーズは長く、ショートデッキのスポーティなスタイルにまとめています。
これにより、従来以上に伸びやかなデザインとなり、アッパーモデル「A6」に迫る広く快適な居住空間ももたらしています。
フロントフェイスはアウディのアイデンティティである「シングルフレーム」を継承しましたが、幅広でフラットになった新デザインを採用。これにフロントバンパーとフェンダーを融合させ、そのなかにヘッドライトを配置した「ソフトノーズ」を組み合わせ、先進的でモダンな表情を演出しています。
リアは真一文字のテールデザインにディフューザー形状のバンパーロアを組み合わせ、動力性能の高さを予感させます。
ちなみに、フロント・リアのライトは非常に細かいLEDセグメントで構成されており、オプションの「デジタルOLEDリヤライト」を選択すると、インフォテインメントシステム「MMI」から8種類の点灯状態を選べ、好みに合わせて変更することができます。
こうした変化点が大きな特徴ではありますが、全体としては一般的に想像するステーションワゴンよりもシューティングブレークの風味が強く、SUVでは実現が難しいスタイリッシュさが映ります。
実用っぽさが薄いぶん、デザインでアバントを選ぶという人も少なくないかもしれません。
インテリアも大きく変化しています。
まず目をひくのが3つの大型ディスプレイを持つインパネです。メーターとセンターのインフォテインメントシステムはひとつの「島」のように統合され、それぞれ11.9インチと14.5インチのモニターを備えます。
さらに、助手席にはオプションで10.9インチの専用ディスプレイ「MMIパッセンジャーディスプレイ」を用意。映像ストリーミングサービスのアプリをインストールできるので、ドライバーは2つのモニターで運転に集中しつつ、助手席はエンタメを楽しむという使い方が可能になっています。
実際乗ってみると、やはりこの3つの画面から構成されるインパネの存在感に驚きます。ただし圧迫感があるというわけではなく、前方の視界は良好です。室内空間が延長されたことも相まって、窮屈感を覚えません。
このほか、ポリマー分散液晶(PDLC)フィルムを用いた「スマートパノラマガラスルーフ」や、ウインカーなどに応じて照明が変化する「アンビエントライティングプロ/ダイナミックインタラクションライト」を採用しています。
また、アウディらしい無機質でメタルな雰囲気はそのまま継続されており、スポーティな形状のシートにはキルティングが施され、ドアトリムなどにはハニカム模様があしらわれるなど、引き締まった印象を与えます。
パワートレインは出力の異なる2種類の2リッター4気筒直噴ガソリンターボ「TFSI」エンジンを搭載。ターボにはVTG(可変タービンジオメトリー)技術を用いることで、燃費効率と低速トルクの確保に役立っています。
なお、ハイパフォーマンスモデル「S5」と、今後登場予定の2リッターディーゼルエンジンモデルには新開発の48ボルト「MHEV plus」システムが搭載され、低速では完全な電動走行が可能となっています(今回はいずれも未試乗)。
先進機能では、衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール、駐車時アシストなどの「ドライバーアシスタンスシステム」を全車に標準装備しています。
「A4」ではなく上位の「A6」に乗った気分? 試乗した印象は今回はA5のうち、アバントの上級モデル「TFSI quattro 150kW」をメインに試乗してみました。
アウディをはじめ、欧州ブランドもSUVが主流となっているなか、最新のステーションワゴンの実力はどうでしょうか。横浜みなとみらい周辺の首都高に加え、一般道もコースに入れて走ってみます。
まず最初に感じたのは、A4の後継モデルというよりも、上位のA6に乗っているのではないかという感覚です。先出の通り、室内空間が広くなったということもありますが、乗り心地はフラットで遮音性も非常に高く、ワンクラス上のモデルに乗った気分です。
また試乗車はスポーティな「S line」仕様で、19インチホイールやスポーツシート、ダンピングコントロールSスポーツサスペンションなどを備えていました。それを加味してもゆったりしたドライビングが可能です。
センターコンソールには「Balanced」「Dynamic」「Comfort」「Efficiency」の4つのモードが選択できる「Audiドライブセレクト」のスイッチがあり、「Dynamic」を選ぶと、足回りやステアリングのフィーリングは瞬時にかっちりと引き締まり、ロール量も効果的に抑えてくれます。
路面のつなぎ目や舗装の甘い路面でも至ってスムーズであり、S lineと聞いて想像する刺激的な硬さはなく、この点も上級車種と感じさせた要因かもしれません。
試乗車にはオプションの「Bang & Olufsen 3Dプレミアムサウンドシステム」に加え、助手席のMMIパッセンジャーディスプレイやアンビエントライティングプロ/ダイナミックインタラクションライトも装着されていたので、どちらかというと思う存分飛ばすよりも、ゆったりドライブを楽しむほうが向いていそうです。
搭載されるユニットは高性能バージョンの2リッターガソリンターボで、グレード名称の「150kW」が示す通り、最高出力150kW(204馬力)と最大トルク340Nmを発揮します。
VTGの効果もあり、街中での発進加速はもたつくことなく、わずか2000rpmから最大トルクが発生するため、ストレスを感じることはありません。
ただし、高速域ではアクセルを少し踏み増すようなシーンもあり、クワトロを搭載しない110kW(150馬力)モデルでは少し物足りなさを覚えそうです。
クルマ好きにとっては、ここはよりパンチの効いた特性があるほうが楽しいのかもしれませんが、その場合はS5という選択肢もあります。プラス約300万円でV型6気筒のターボエンジンを選べるのは十分魅力的です。
また、やはりS5とディーゼルモデルに用意されるMHEV(マイルドハイブリッド) plusシステムの搭載にも期待したいところで、今後は完全電動走行が可能なマイルドハイブリッドの設定も待ち遠しく思います。
助手席や後席にも座ってみます。助手席ではやはり先出のMMIパッセンジャーディスプレイが見どころで、インパネのデザインを損なわずに自然に備わっています。
いっぽう、タッチディスプレイで非常にスムーズ操作ができるのに、基本的にはマルチメディア機能に徹しているのは少々もったいない気がします。エアコンやシートの調整が可能になれば、さらに便利になるでしょう。
シューティングブレーク風のワゴンと聞くと、後席空間は狭い印象を受けるかもしれませんが、身長172cmの筆者(編集部N)でもそういった印象は皆無です。足元にも余裕があるうえ、3ゾーンエアコンや、オプションでシートヒーターも用意されているため、大人が十分にくつろげる空間になっています。
また1470mmと低めの全高ですが、頭上が狭いとは感じなかったのが意外で、これは非常に薄いスマートパノラマガラスルーフ(オプション)を装備したことも一役買っているのではないかと感じます。
スマートパノラマガラスルーフは物理的なシェードではなく、ボタン操作でガラスルーフの表面にある液晶の透過率が変わるもので、トヨタ「ハリアー」などのものと同等です。サンルーフとも違って厚みがないうえに、開放感を感じられる優れた装備です。
ラゲッジルームは448リッターで、後席を畳むと1396リッターを確保。この容量の大きさはさすがアウディのアバントといったところで、クワトロの高い走行安定性を巧みに使いながら、4人分の荷物を満載した長距離旅行も十分に可能でしょう。
実に快適な乗り心地ということも相まって、短時間過ごすよりも500kmを超えるロングランの相棒でぜひともじっくり確かめてみたい気分です。
また、今回は試乗できませんでしたが、やはり気になるのがS5の存在とディーゼルモデルです。
特にディーゼルモデルではMHEV Plusシステムの採用で加速の向上と、燃費も欧州参考値で最高20km/Lをマークするなど、実用性も非常に高くなっています。早期の日本投入を期待したいところです。
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新型A5の価格(消費税込)は599万円から681万円、A5アバントが624万円から706万円です。S5は標準モデルが1035万円、アバントが1060万円に設定されています。
なお、新型の発売記念モデルとしてA5/A5アバントに専用内外装を持つ限定車「edition one(エディション ワン)」が150台用意されます。価格はA5が821万円、A5アバントが846万円です。