四国と九州をつなぐ新たな海峡道路「豊後伊予連絡道路」の構想が進んでいます。開通すれば一体どう便利になるのでしょうか。
壮大な計画 どこまで進んでいるのか 四国と九州をつなぐ新たな海峡道路「豊後伊予連絡道路」の構想が進んでいます。
開通すれば一体どう便利になるのでしょうか。
九州は、本州と「関門トンネル」「関門橋」でつながっています。しかし四国とはつながっていません。
九州と四国は、大分県の「佐賀関半島」と愛媛県の「佐田岬半島」がたがいに手を伸ばし、今にもくっつきそうになっています。
ここを橋かトンネルでつなげば、近くて遠かった両者が、クルマで簡単に移動可能になります。さらに、北九州経由で遠かった大分県が、関西方面からより身近な存在となります。
こうした計画は「豊後伊予連絡道路」として古くからあり、名神・山陽道ルートに並行する第2軸「太平洋新国土軸構想」として、関西〜四国〜九州の海峡をつなぐ長期的プランの一部に位置付けられてきました。
大分県は、6年をかけて豊予海峡の調査報告書をまとめ、2022年に発表しています。
これによると、海底トンネルの場合は全長20.7km、海底部が13.3kmで、最も浅い部分を上手く抜けて海面下217mを通過するとしています。
橋梁の場合、全長14.9kmで、海面下の浅瀬や小島を上手く繋ぐルートとなっています。いずれも東九州道「大分宮河内IC」から、大洲八幡浜道路を経て松山道へ直結するものです。
開通効果は、大分〜大阪・高松・松山の所要時間がいずれも「98分短縮」、物流効率化効果は「年間160億円」、さらに災害時の代替ルート確保としても200億円以上の効果が見込まれると概算しています。概算事業費はトンネルで6900億円、橋梁だと1兆2830億円と算定されています。
実際どこまで話が進んでいるのかとはいえ、一般人にとってまだまだ「夢物語」で終わっているこの構想、現在進行形で何がどう動いているのでしょうか。
まず国の基本的な姿勢は、2023年7月の10か年計画「国土形成計画(全国計画)」において、「湾口部、海峡部等を連絡するプロジェクトについては、長期的視点で取り組む」という方針で示されているとおりです。つまり、前向きに取り組んでいくことは明確になっています。
そして国土交通省が2021年に策定した「新広域道路交通計画」にも構想路線として、おおまかなルートが記載されています。
とはいえ、そこから具体化へ動きだすにはまず、地方からの機運が無いと話になりません。
まず大分県知事は2024年6月議会で、「おりしも、海峡を横断する下関北九州道路が事業化に向けて動き出しています」として、近年では九州最大級とも言える道路計画のスタートに触れたうえで、以下のように方針を目一買うに打ち出しています。
「豊予海峡ルートの道路整備については、進捗中の中九州横断道路から延伸し、九州の強みである半導体や農林水産物等を効率的に関西方面へ、さらにその先へと運ぶ物流道路としての効果も期待されます」
「本県としても豊後伊予連絡道路が次に続くプロジェクトとなるように国や関係機関等への働きかけを今もしていますが、強めていきます」
ここで「働きかけを強めていきます」という表現を用いたことに、知事の意欲があらわれています。
いっぽう愛媛県側でも、実現に向けた交渉のための地震観測調査を毎年行うなど、準備を着実に続けています。
そして2024年10月末に、両県知事が「愛媛・大分交流会議」で会談。
ここで大分県知事は、愛媛県知事に対し、海峡道路へ協働して国へ働きかけるべきだと、熱烈に説きます。
「豊後伊予連絡道路について、国に対して例えば調査をすべきだというような要請を、一緒にしていただけると。この間も副知事さんと一緒に活動をしましたが、ぜひ愛媛県さんと一緒に、豊予の道路の整備を一緒に、調査をすべきだという要請をしていただけるとありがたいなと」
愛媛県知事はこれに対し、「坂の上の雲ミュージアム」(松山市)を訪問した際に、当時の政治家たちのダイナミックな国家戦略にあらためて気づかされたとしつつ、「長い目で見た国家戦略の中で位置付けるべきだという主張を続けていく必要は痛感しているところであります」と答えています。
大分県知事はそれを受け「愛媛県が重要なパートナーになってきますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います」とあらためて要望し、会議は終わりました。
それが結実したのが、2024年11月末に国へ提出された「南海トラフ地震による超広域災害への備えを強力に進める10県知事会議」における政策提言書です。
そのなかで「ダブルネットワークの形成等、災害に強い国土幹線道路ネットワークの構築」として、「豊後伊予連絡道路の検討への支援」を国へ求めています。