大阪・十三の現役キャバレーを貸切に!ハーモニカ同好会からプロレス、結婚式まで…昭和レトロな空間どう遊ぶ?

今年は「昭和100年」。今、昭和が懐かしい世代からも、昭和を知らない世代からも「昭和レトロ」がウケている。豪華なシャンデリアが輝く吹き抜けのホール、キラキラ電飾が光るステージ、重厚感のあるビロードのソファ、ハート型のプラスチックのランプ…。まさに「昭和レトロ」が詰まった注目のスポットが阪急電鉄「十三駅」から約5分の場所にある。1969年から営業を続けるグランドキャバレー「グランドサロン十三」(大阪市淀川区)だ。

◆ ハーモニカ同好会から、バーレスク、結婚式までなんでもござれの貸会場

2代目社長である宮田泰三さんによると、ホステスが接客するキャバレー事業と並走する形で、2021年から運営している貸会場事業が好調とのこと。これまでの利用は、ハーモニカ同好会から、バーレスクなどのダンス公演、音楽イベント、落語会や企業の周年パーティー、結婚式まで幅広く、約200件。過去には、きゃりーぱみゅぱみゅがファンミーティングを行ったことも。また、撮影にも多数利用されており、このステージで演歌歌手の細川たかしや、アイドルグループ・SUPER EIGHTが番組を収録したこともある。

そんな貸会場は、月〜土曜(朝8時〜夜6時)の7時間以内なら15万円から。平日(朝8時〜夜6時)の場合は特別料金適用で、なんと1時間2万円〜レンタルできるので、貸し切りで昭和レトロな空間を満喫したい人にぴったりだ。

◆ 柳家睦とTHE RATBONES、暗黒プロレス組織666、新宿二丁目プロレスのコラボイベントへ

今回は同サロンを1日貸し切って開催されたイベントに潜入。2025年2月に開催された音楽ライブとプロレスを融合したイベント「柳家睦&暗黒プロレス組織666&新宿二丁目プロレスpresents『大阪柳家祭りvol.3』」を取材した。

サロンのドアを開けて進むと、ゴージャスでいて、どこか懐かしさを感じる美しい空間が出現。創業当時から今もこまめにメンテナンスを入れつつ、レイアウトなどは大きくは手を加えていないそうで、「よくぞ残してくださった!」と言いたくなるほど。空間に見とれていると、古き良き昭和の雰囲気を醸し出す「レベル歌謡ミュージック集団」柳家睦とTHE RATBONESのライブが、さっそくスタート。

歌謡曲、パンク、フォーク、ラテンミュージック…さまざまな音楽要素を盛り込んだジャンルレスのオリジナルのナンバーはじめ、「愛の賛歌」や「マイウェイ」など誰もが知る名曲を、大胆にロックアレンジした楽曲も披露。揃いのスーツに身を包んだバンドメンバーの出で立ちや、華やかなダンサーのパフォーマンスも、昭和なムードが満点だ。観客もこぶしを突き上げ、歌い、踊り、一緒にステージを盛り上げる。

バンドの演奏が終了すると、可動式のせり出したステージがゆっくりと、本ステージの下に格納されていく。フロアに大きなマットが登場すると、ここからは暗黒プロレス組織666と、新宿二丁目プロレスのメンバーによるプロレスがスタート。しっかりしたリングがない分、お客さんたちをかき分けて移動したり、とにかく選手たちと観客の距離が近い。

途中、レスラーたちによる大縄跳びや、ボディビルコンテストなど、ステージとホール、会場全体を存分に使用した余興もたっぷり。大きなカメラを持った来場者も多数おり、いつもの試合とは違う、良い絵が撮れていたのではないだろうか。

今回イベントをきっかけに、はじめてこの空間に足を踏み入れたという参加者に話を聞いた。女性グループのひとりは「柳家睦とTHE RATBONESのファンです。キャバレーって、自分の人生に関係ある場所だと思ってなかった。でも今日初めて来てみたら、ワクワクするような空間。この昭和感がたまらないですね」と話す。また、十三在住の男性は「家が近いから何度も前を通ってたけど、今まで中に入ったことはなかった。キャバレー営業も、ちょっと1回きてみたいなって思ってる」と話す。

次のページは…「ここでライブやプロレスができるのは、奇跡」柳家睦&THE RATBONESを率いる柳家睦氏にインタビュー

◆「こんな場所は東京にもない。ここでライブやプロレスができるのは、奇跡」

今回のイベント主催者のひとりで、柳家睦&THE RATBONESを率いる、柳家睦氏にライブ後に「グランドサロン十三」でのライブの感想とその魅力を聞いた。

──今回「グランドサロン十三」での主催イベントは2度目ですね。大阪でも「知る人ぞ知る場所」という印象のこの場所で、関東を拠点に活動されている柳家一座が、イベント開催することになった経緯は?

もともと、ここのすぐ近くライブハウス「ファンダンゴ」(2019年に十三での営業終了、現在は堺に移転)ではライブやってて、キャバレーの存在は知ってたの。でもあの「ファンダンゴ」はなくなっちゃって。昨年かな、ここでライブをやれないかと思って、人づてに問い合わせしたのが最初。

──ライブハウスやクラブだけでなく、ボーリング場とかいろいろな場所で演奏されていますが、今回のライブ、いかがでしたか?

「グランドサロン十三」の魅力っていうのは、やっぱりなにより「現役である」ということ。東京もキャバレーってのは、どんどん潰れていってる。ココみたいに「現役のグランドキャバレー」で演奏できる場所って本当にないのよ。「東京キネマ倶楽部」も雰囲気は近いけど、あちらは元キャバレーなんだよね。

だから、こうしてこの場所で今日みたいに貸切ってライブやプロレスができるのは、正直奇跡よ。俺らも演ってて楽しいし、お客さんも喜んでくれてる。この昭和的で、歴史ある建物が、この先もずっと残るかどうかも、わからないじゃない。関東では「熱海芸妓見番」(静岡県熱海市、1954年〜)で『熱海音泉〜浮世離れ歌謡祭〜』を恒例でやってるし、こういう場所で、できるうちにできるだけ演りたい、という気持ちはあるね。

──楽曲の世界観も、ダンサーを入れたパフォーマンスも、この昭和感満載のステージにハマっていました。さらに、今回は666と新宿二丁目プロレスとのコラボレーションで、より妖しく、より賑やかでした。

そうね、この昭和的なハコにできるだけ沿うような内容にしたいと思って。今回に限らず、俺らは、アクの強い、心のどっかにひっかかるような、中毒性のあるステージを目指してる。今はバンドメンバーに、ダンサーや女王様も入れて総勢20人とか。『サマー・ソニック』(2023年、2024年に出演)の時なんかは、神輿担ぐメンバー含め30人以上いたかな、基本大所帯。地方行くときは、ハイエース2台に乗れるだけ、乗る(笑)。

──確かに、いつもステージ上に乗り切らないくらいメンバーいますね。睦さんはバンドを率いる、というか、もうサーカス団長みたいですよね。

今までの人生ずっと音楽ありきで50代真ん中までやってきたけど(※編集部注:現在休止中のサイコビリーバンド・BATTLE OF NINJAMANZの中心人物)、音楽だけで人を感動させるには、もう遅すぎるって気が付いて。俺はもともとテレビっ子だったから、テレビと生のステージの違いはあるけど、ドリフの『8時だよ全員集合』のリメイクみたいなことをイメージしてね。前のバンドとはまた違う形でスタートしたのが今のバンド。

昭和の時代は、家族でテレビを囲んでたよね。そんで、突然ちょっとエッチなシーンがはじまると、家族で観てると気まずくて「はぁ、びっくりした!」みたいなこともあったじゃん。今はとにかく「コンプラ、コンプラ」言うけど、当時はそういうのもみんな大爆笑してたよな。頑張っている人の姿が笑える、みたいな。そんな昔のフォーマットを活かしながら、昔のまんまではない今の形でやってみようって。俺みたいなお調子者がどこまでいけるのか、っていうのを今はやっているつもり。まぁ、お調子者のなれの果てだな。

──そんな懐かしい昭和な世界観がこの空間にビタッとハマっていました。イベントを終えて、今後の展開はどうでしょうか?

そうね、いつかここでやってみたい野望があるのよ。子どもからおじいちゃんまで、みーんな無料で入場してもらって。1日ダンスとか縁日とか、家族3代で楽しんでもらって。グッズからなにから買ってもらって、最後は気分良く財布すっからかんで帰ってもらう、っていう…そういうのをいつかやりたい。

今度4月13日には、ここで赤犬と対バンやるのが決まってる。似ているようで、似てない2組だから、共演すると毎回面白い。ふざけているけど実は赤犬は、音楽性が抜群にいいよね。いつまでもこういう場所があるわけではないから、次もお客さんに、めいっぱい楽しんでもらいたいね。それが一番よ。

◆ 「貸す側」も「借りる側」もこの「グランドサロン十三」を愛する同志

同サロンの宮田社長は「こういった空間を今から新たに作るのは難しい。希少になったグランドキャバレーという業態と、この空間を守り活かして、自分の生まれ育った街・十三のにぎわいに貢献できる『文化施設』にしたい」と話す。昨年は建築一斉公開イベント「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」で施設見学会を行なったり、高校生が主役のバンドイベントを行ったり、文化的な活動にも積極的に参加。文化的なアプローチで、今までキャバレーとは縁遠かった人たちへのアピールにも余念がない。

そして、今回取材した貸会場事業に力を入れるため、スタッフも新たに採用。スタッフのひとりは「ここにはじめて来たのは、ロックバンド・BUCK-TICK‎のお人形をお迎えしたばかりのとき。『推しキャラ撮影会』にお人形と一緒に参加しました。昔から耽美で妖しい世界にすごく惹かれるタイプで…。その後、是非ここで働いてみたい、とスタッフ募集に応募。それまで働いていたモノづくりの仕事から、全く違う世界に飛び込みました」と話す。

「貸す側」も「借りる側」もこの「グランドサロン十三」という空間を愛する者同士。昭和レトロなこの空間を、どうやって楽しむか。いろいろなアイディアがふくらみそうだ。貸会場の問い合わせ方法は公式サイトで確認を。

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柳家睦&THE RATBONESライブ情報※最新情報は公式SNSで確認を

■『渋谷猥雑番外地〜ダイナマイトコンサート2025 柳家睦&THE RATBONES』
2025年4月10日 渋谷「クラブクアトロ」
出演:柳家睦&THE RATBONES DJ HIKARU(BOUNTY HUNTER) DJ高橋盾(UNDERCOVER) DJなるきよ

■『ツアーパシフィック25〜大阪 グランドサロン十三〜』
2025年4月13日 「グランドサロン十三」
出演:柳家睦&THE RATBONE 赤犬 GASOLINE 

■『宝さがしの夜〜ツアーパシフィック25』
2025年4月12日 四日市 「CLUB CHAOS」
出演:柳家睦&THE RATBONES ORANGE KLUB TAKARA DJ's

■『熱海浮世離れ歌謡祭2025』
2025年5月5日 「熱海芸妓見番」
出演: 柳家睦&THE RATBONE 気志團 DJ横山剣(from クレイジーケンバンド)  ミラクルひかる
2025年5月6日 「熱海芸妓見番」
出演:柳家睦&THE RATBONES 怒髪天 OAU

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