アニメやOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)は、必ずしも原作に忠実とは限りません。ときに監督の個性が強く反映され、もはや原作とは「別物」と呼びたくなるような作品が生まれることもあります。
今川泰宏監督が手がけた『ジャイアントロボ』のOVAは、まさにその代表格です。原作者である横山光輝先生の設定に忠実な王道SFアニメかと思いきや、その実態はロボット以上に熱く、そして強烈に輝く「おっさん」たちの熱血群像劇でした。
そもそも『ジャイアントロボ』といえば、1967年に放送された特撮ドラマ版を思い浮かべる人も多いでしょう。「ウルトラマン」に対抗する形で製作された本作では、「ギロチン帝王」率いる秘密結社「BF(ビッグ・ファイア)団」と「国際警察機構」による熾烈な戦いが描かれました。ツタンカーメンのような巨大ロボのビジュアルは、そのインパクトゆえ、いまなお記憶に残る存在です。
ジャイアントロボは、本来BF団が世界征服のため開発したロボットでしたが、ひょんなことから主人公の少年「草間大作」の命令にしか従わない存在となります。そして最終回では、大作の命令を無視して、地球の危機を救うため自ら犠牲になるという衝撃的な展開が待っていました。ジャイアントロボが爆発した空に向かって、大作たちが敬礼するラストシーンに、目頭を熱くした視聴者も多かったのではないでしょうか?
こうした正統派ヒーロードラマの印象が強い『ジャイアントロボ』ですが、1992年に初リリースされたOVA『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』では、そのイメージが大きく覆されることになります。
舞台は近未来。BF団と国際警察機構による戦いという基本構図こそ原作マンガや特撮ドラマと共通していますが、中身はまったくの別物といっても過言ではありません。
とりわけ特筆すべきは、「十傑集」と呼ばれる超人たちの存在です。BF団の最高幹部となる彼らは、生身で基地を吹き飛ばし、巨大ロボと互角に渡り合うほどの人間離れしたパワーを持っています。
対する国際警察機構側にも、彼らに匹敵した超人たちがそろっており、本作の本質はロボットアニメというより、壮絶なおじさん同士のぶつかり合いにありました。もちろんジャイアントロボも活躍しますが、もはや舞台装置のひとつにすぎず、全体のトーンを決定付けているのは、間違いなく彼ら超人たちだったといえるでしょう。
さらに注目すべきは、登場キャラクターの出自です。十傑集をはじめ、本作に登場するキャラクターの多くは横山作品に登場する人物たちをモチーフにしています。ジャンルも時代も異なるキャラクターたちが一堂に会する、まさに夢のようなクロスオーバーが展開されているのです。
それぞれのキャラクターが己の信念と誇りをかけて激突する本作は、ロボットアニメの枠を超えた壮大な群像劇として多くの視聴者を魅了しました。圧倒的な熱量と濃密なドラマが交錯する「スーパー横山光輝大戦」、それがOVA版『ジャイアントロボ』なのです。
昨年2024年に生誕90周年を迎えた横山先生の功績を振り返りつつ、改めて視聴してみてはいかがでしょうか。