日本ばかりでなく世界中で売れ続けているポルシェのベストセラーSUV、マカンが2世代目になった。今回登場したのはマカン4とマカンターボの2モデルだが、どちらもフルエレクトリックモデル。その完成度はとても気になるところである。
SUV最強のパフォーマンスを手に入れたマカン ターボ2014年にデビューしたポルシェマカンは23年までの10年間に約84.5万台がライプツィヒ工場から世界中へデリバリーされていった。ポルシェの中でもっとも人気があるが、こうしたモデルのフルモデルチェンジはかなりプレッシャーがかかるものだろう。さらにそれがこれまでとは違うフルエレクトリックとなれば想像を超えるものだったはずだが、試乗会場で話をした開発チームはみんな自信に満ちていた。今回はそんなマカンの第2世代にフランスのアンテーブで試乗してきた。
新型マカンは、完全電動化されたBEVとなったが、ここでは従来型マカンに対してわかりやすくするため新型をマカンエレクトリックとして書き進めたい。24年1月にシンガポールでワールドプレミアされたのはマカン4とマカンターボである。どちらも2基の最新世代のPSM電気モーターを搭載し、全輪を駆動する。
特徴は、270kWの高性能急速充電に対応するEパフォーマンスを持つこと。マカン4/マカンターボの最高出力は、300kW(408ps)/470kW(690ps)、最大トルクは、650Nm/1130Nmとなる。100Nm超えの最大トルクもそうだが、静止状態から100km/hまでの加速時間は5.1秒/3.3秒と、さらに驚かされた。
この3.3秒という0→100km/h 加速タイムは、カイエンのトップモデル、ターボGTと同じ。さらに加えれば、12気筒エンジンのフェラーリ プロサングエや8気筒エンジンのランボルギーニ ウルス ペルフォルマンテも3.3秒である。つまり、マカンターボは、プロサングエやウルスと同等のパフォーマンスを手に入れたことになるというわけだ。これは、ポルシェのマカンをSUVナンバー1にするという強い意志が伝わってくる。もちろん、マカン4エレクトリックでも十分な速さを持つことは言うまでもない。
BEV化しても引き継がれるポルシェのスタイリングマカンエレクトリックのコンセプトは、ポルシェらしい見た目、ポルシェらしい走り、ポルシェらしい雰囲気、ポルシェらしい個性である。つまり、すべてがポルシェそのものだと言うのである。
ディメンジョンは、従来より長く幅広い全長4784mm、全幅1938mm、全高1622mm。ホイールベースは86mm延長され2893mmとなったが、それは後席の居住性にあてられた。座ると従来より広く快適な空間となっている。Cd値は、SUVとしてはかなり優秀な0.25である。ポルシェ アクティブ エアロダイナミクスにより、アンダーボディをフラットにし、クーリングエアフラップやアダプティブリアスポイラーの装着などによりこれを達成している。
特徴的なサイドブレードは健在で、フレームレスドアに組み込まれている。またテール部の3DライトストリップにはPORSCHEロゴも中央に配置される。新型マカンは、800Vアーキテクチャーを備えたプレミアム プラットフォーム エレクトリック(PPE)を採用しており、これはアウディと共同開発したものである。航続距離は、マカン4が613km、マカンターボが591kmである。
電子制御式ポルシェトラクション マネジメント(ePTM)は、フロントとリアのトルクを可変させるが、これは従来の4WDシステムの約5倍の速さで作動し、10ミリ秒以内にスリップに反応する。さらにマカンでは初めて最大5度の操舵角のリアアクスルステアリングもオプションで用意、PASMは2バルブテクノロジーを採用したダンパーも装備する。
AR技術を持つヘッドアップディスプレイも採用された。圧倒的な表示性能を持ち、87インチサイズに相当する画像が10m前方に映し出される。またドライバー用に12.6インチカーブドディスプレイ、中央にタッチ式10.9インチ、さらに助手席用にも10.9インチディスプレイを用意する。
フロントには、ポルシェでは初めて採用されたヘッドライトとなり、上部に4灯式のデイタイムランニングライト、やや低い位置にLEDヘッドライトやマトリックスLEDライトを配置する。
このエレクトリックSUVを世界中が目標にするだろうこれまで多くのBEVに試乗したが、マカンエレクトリックは、その中でもトップクラスとなるスポーツカー的なパフォーマンスをみせてくれた。とくにマカンターボのそれは圧倒的なもので、さすがポルシェファミリーの一員だと改めて感じられた。
前後重量配分は、マカン4の50:50に対してマカンターボは48:52とやや後輪寄りにし、よりトラクションをかけるようにしている。この違いが、前者を実用性の高いマルチSUV、後者をスポーツカーというポジションにしている。街中の低速域では静粛性も高くとても高級感がある。乗り心地はやや硬めなものだが、これはICEマカンと同様で似たような印象だ。締まった足まわりという表現が正しいだろう。
ワインディングロードでの走りは実に痛快。装着されているリアアクスルステアリングの効果もあり、ボディの大きさを感じさせないハンドリングとなり、その気になればかなりハイペースで走ることができる。身体とマカンが一体化したようなダイナミックなドライブフィールが味わえ、ペダルやハンドル操作に瞬時に反応する様子は、ICEモデルよりも強い。また回生性能も最大240kWあり、長い下り坂などでは十分な充電量の回復ができた。
新型マカンは、走る歓びや満足感がとても高く、ICEからフルエレクトリックへ大きく舵をきったベストセラーSUVは、正真正銘ポルシェそのものであると言えるものだ。今後は、世界中のSUVが、このマカンエレクトリックを目標にすることだろう。