牧野フライスTOB…工作機械メーカー相次ぎ買収、ニデックのこれまでの歩み

ニデックが工作機械業界での存在感を高めている。2021年の三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール、滋賀県栗東市)以降、工作機械メーカーを相次ぎ買収し、すでに4社を傘下に収めた。24年末には牧野フライス製作所の完全子会社化を目指して株式公開買い付け(TOB)の実施を発表。大型買収提案に至るまでのニデックの工作機械事業の歩みを振り返る。(京都・友広志保)

ニデックが工作機械事業に参入したきっかけは、現在副社長を務める西本達也氏のもとに三菱重工工作機械のM&A(合併・買収)案件が持ち込まれたことだった。同社は大型5面加工機や歯車工作機械を手がけ、歯車工作機械では国内シェア首位を誇る。当時は赤字を計上していたが、西本副社長は「プレス機や減速機製造に必要な工作機械を手がけている。(買収すると)即答した」と当時を振り返る。

実際、ニデックが享受したメリットは大きかった。工作機械は納入までに時間を要し、ニデックでも必要な時に手に入らないという課題を抱えていた。しかし工作機械メーカーのグループ入りで事業が加速化し、ロボット用減速機のシェア拡大にもつながっている。

ただ歯車工作機械は工作機械市場全体に占める割合がわずかだ。「旋盤やマシニングセンター(MC)に比べ、代理店が一生懸命に売る面白みは小さい」(西本副社長)ことなどから、事業規模拡大への障壁は高い。そのためニデックは旋盤やMCにもラインアップを広げる必要があると判断。MCを手がけるOKK(現ニデックオーケーケー)や旋盤を手がけるTAKISAWAの買収へと乗り出すこととなる。

ニデックが牧野フライス製作所への買収提案にあたり同社に提出した「企業価値の最大化に向けた経営統合に関する意向表明書」では、ニデックによる買収以前のOKKについて長年の業績不振で信用力を失った状態と説明。現在はニデックが資金や人材面をサポートし、工場移転を進めている最中だ。

OKKの主力工場だった猪名川製造所(兵庫県伊丹市)での生産は取りやめる方針で、27年までに滋賀県栗東市のニデックマシンツールの工場に生産を移管する。ニデックマシンツールが中国向け歯車工作機械を現地生産に切り替えたことで空いたスペースで、ニデックオーケーケーのMCを生産する。

当初は猪名川製造所の生産棟の建て替えを検討していたが、費用がかさむため生産移管が適切と判断。「重切削、高剛性」の代名詞で知られるMCの名門は、ニデックグループ一体で次なる成長を目指す。

【特集>進撃するニデック−牧野フライスの行方】はこちら
ニデックがマシニングセンター大手の牧野フライス製作所の買収に乗り出します。牧野フライスの同意を得ていません。中国など新興勢力への危機感は工作機械各社で醸成されており、このTOBが業界再編の試金石となるでしょうか−。日刊工業新聞電子版ではその動向がわかる情報をまとめました。

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