AGCは100年以上にわたり国内で重曹製造を続けており、そのシェアは国内消費量の3、4割を占める。製品の製造段階で異物混入を防ぐ徹底した品質管理が特徴で、特に排ガス処理向けや国内シェアの6割以上を占める人工透析向けを強みとしている。
AGCの重曹事業は、1920年代にガラス製造の原料となるソーダ灰事業の副産物として始まった。その後、北九州の設備を廃止し、鹿島工場(茨城県神栖市)に重曹プラントを建設した際には空気輸送への変更やオールステンレスの採用など異物混入を防ぐ仕組みを強化。不純物の少ない製造方法に移行しつつ、品質と用途の広さを追求することで競争力を確保している。
また、国内で唯一の排ガス処理向けの二次加工設備を持つ。排ガス処理用途は燃焼過程で発生する有害な酸性ガスを中和する。石灰系の薬剤では、排ガス処理が困難な施設や条件において重曹製剤を使うことで高い効果を得られるという。
医療向けなど命に関わる用途が多い重曹事業での今後の課題は、供給安定化の一層の強化だ。ドライバー不足などに対応しながら、高品質な製品を安定的に届ける体制の構築が重要だ。
桜井茂化学品カンパニー基礎化学品事業本部クロール・アルカリ日本事業企画部化成品事業グループ商品開発チームリーダーは「化学品事業の始まりのころから続けてきた重曹事業は残したいという思いで今に至る。輸入品では対応できない用途で差別化ができている」とする。(岡紗由美)(随時掲載)