エヌビディア・富士通・アーム…ソフトバンクが協業加速、次世代通信「AI-RAN」の効果

性能向上へエヌビディア・富士通などと実証 データ処理高速化

ソフトバンクがAI(人工知能)と無線アクセス網(RAN)が融合した次世代通信技術「AI―RAN」で米エヌビディアや富士通、英アーム、フィンランドのノキア、米レッドハットとの協業を加速させている。スペインで3日に始まった世界最大のモバイル関連展示会「MWCバルセロナ」で各社との取り組みを紹介した。ソフトバンク通信網へのAI―RANの導入を目指すほか、国内外の通信事業者にも展開し、データ流通量の増大に対応する。(編集委員・水嶋真人)

エヌビディア、富士通とはAIによるRANの性能向上効果を実証した。

携帯通信では時間や位置、無線の使用環境や干渉波など、さまざまな無線環境が複雑に変化するため、最適な周波数を割り当てるチャネル推定精度の向上が重要になる。

実証では、AI技術を用いたチャネル推定精度向上のため、ラボ環境でスマートフォンを用いて従来技術との比較試験を行った。その結果、「品質が悪いエリアにおいて(携帯通信基地局側で受信する信号である)アップリンク(UL)のユーザースループット(単位時間当たりの処理能力)が約20%改善した」(船吉秀人ソフトバンク先端無線統括部長)。

この技術を適用した基地局では、干渉が強い環境下でもULの通信速度の低下を抑制し、動画や画像などのアップロード時の通信体感の向上を実現できるという。

エヌビディアの画像処理半導体(GPU)などを用いてAI―RANのデータ処理を大幅に高速化する製品群「AITRAS(アイトラス)」の商用化に向けた開発も進んでいる。アームの技術を用いたエヌビディアの高性能中央演算処理装置(CPU)「グレースCPUスーパーチップ」を搭載した基盤に、データ処理や制御機能を集中管理するセントラルユニット(CU)機能を実装した。これにより、CU1台に収容可能なラジオユニット(RU)数を2倍に向上し、CUの処理に必要なサーバー台数を減らせる。

このほか、レッドハットとはAI―RANのデータセンター上で動作するvRAN(仮想無線アクセス網)やAIアプリケーションの電力の使用状況を把握し、消費電力を最適化するシステムを開発した。アイトラスのオーケストレーター(調整自動化機能)上で電力の使用状況などを基にAIアプリが利用するIT資源を割り当てて電力消費を最適化できる。

一方、ノキアとはAIアプリとノキアのvRANソフトウエアを1台のGPUサーバー上に実装するシステムを開発した。接続ユーザー数などのリアルタイムデータを活用することで、オーケストレーターがデータ流通量の需要を予測し、サーバー資源の最適な割り当てを自動で行えるシステムも開発した。これにより、通信事業者は設備利用効率を高められる。

船吉統括部長は一連の技術について「25年度にも(自社通信網の)数カ所規模で評価していきたい」と話す。ソフトバンクグループは24年11月にエヌビディアとAIの開発や利用を推進すると発表しており、さらなるAI活用が見込めそうだ。

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