住友ゴム工業は2035年までの長期経営戦略で、高性能のプレミアムタイヤ比率の拡大に向けた生産・技術改革を遂行する。製造戦略では既存の生産拠点の一部を最新鋭の生産設備に更新。27年までにタイと日本国内の工場で導入完了を予定し、欧米など向けのプレミアムタイヤ生産を拡充する。商品技術ではタイヤ自らが路面状況に応じて性能を変化する独自技術の進化などを図る。「利益の源泉である消費財のプレミアム商品に注力しつつ、選択と集中を進める」(山本悟社長)ことで、30―35年に事業利益率15%を目指す。(間瀬はるか)
国内工場ではコンパクトな次世代成形機を自社開発し設置を進める方針だ。標準設備に比べて35%省スペース化し改良も重ねやすくする。人的ミスや搬送遅延を削減するため工程間の自動搬送システムを導入するほか、データ駆動型の生産管理も取り入れる。大川直記取締役常務執行役員は「今後国内では人が足りなくなっていくため、新構想で省人化を推進する」と説明。リスクに対応しながらプレミアム化を加速する姿勢を見せる。
タイ工場では高精度かつ高性能のタイヤを効率良く生産する独自工法「太陽」を進化させ、適用範囲を拡大する。これまでの乗用車用タイヤに加え、スポーツ多目的車(SUV)やピックアップトラック向けの大外径タイヤに採用する。SUVなどに求められる高いデザイン性と均一性(真円性)、軽量化といった要素を併せ持つタイヤを生産する。
日本とタイ工場の一連の取り組みを通じ、村岡清繁取締役常務執行役員は「作業者を(従来比で)半数程度削減できる効果が見込める」と期待する。こうして生み出した人員の余力を成長事業などに再配置し、新たな収益の柱の構築を加速させる方針だ。日本とタイの工場を輸出拠点と位置付ける一方、その他の工場を「地産地消拠点」として、27年以降、生産アロケーション(配分)の最適化を進める。
タイヤ事業に占めるプレミアム商品の比率(本数ベース)は24年時点で40%。長期経営戦略では同比率を30年に60%に引き上げる目標を掲げた。プレミアム商品の中でも特に重視するのは、路面状況に応じてタイヤ自ら性能を変化する独自技術「アクティブトレッド」を搭載した商品。30年に事業利益額の10%以上をアクティブトレッド搭載タイヤで稼ぐ構想だ。
同技術では24年時点で水と温度に反応しタイヤの性能を変化する「スイッチ」を開発済み。27年には欧米のオールシーズンタイヤ向けに同スイッチを進化させる。西口豪一取締役専務執行役員は「オールシーズンで特徴のあるブランドバリューを作り、信頼を得た上で夏用タイヤにも広げていく」と戦略を示す。28年以降、新たな環境の変化に適応する「第3のスイッチ」などの投入も計画し、さらなる差別化につなげる。