短い昼寝は脳にいい…「つながりのある記憶力」を高める【科学が証明!ストレス解消法】

【科学が証明!ストレス解消法】#218

 サートランド大学のシュトゥトゥらの研究(2015年)によると、昼寝は「つながりを思い出す力」を高める効果があるといいます。

 この研究では、昼寝をすると、「意味のつながりのある記憶」が守られる一方で、「単なる言葉を覚える記憶」については昼寝してもしなくても下がってしまうことが分かりました。

 脳波を見ると、昼寝中の「スピンドル(眠っているときの脳のリズム)」が多い人ほど、記憶の成績が良く、「つながりを思い出す力」を高める効果があり、脳の働きと関係していることが示されたそうです。

 このほかにも、昼寝が脳に良い影響をもたらすことが、シンガポール国立大学のレオンらの調査(2023年)でも分かっています。被験者は、毎晩少なくとも6時間の睡眠をとる若い成人に限定し、個体差が生じないよう、毎回の昼寝の前に、薬の服用、激しい運動、ニコチンやカフェインなどの刺激物の摂取を控えるという条件の下、10分、30分、60分の昼寝をしてもらいました。そして、昼寝が新しい記憶の形成にどのような影響を与えるかを調べるために、被験者に一連の画像を見せ、昼寝後しばらくしてからそれらを説明するよう指示しました。

 その結果、30分間の昼寝をした被験者は、それよりも短いまたは長い昼寝をした参加者よりも詳細に説明することができたといいます。また、被験者全体に注意力の向上が見られ、効果は1〜4時間持続することも判明しました。このように、昼寝は脳に良い効果をもたらすことが示唆されているのです。

 もちろん、健康面においても昼寝は有効なリフレッシュ法でもあります。アテネ大学医学部のナスカらの成人を対象にした調査(2007年)では、30分間の昼寝を週に3回以上とっている人は、心臓病死のリスクが約37%低下することが明らかになっています。昼寝と聞くと、日本人は良いイメージをもたない人が多いかもしれませんが、スペインでは「シエスタ」といって習慣になっているほどです。

 ただし、長すぎる昼寝は禁物です。広州医科大学のパンらによる研究(2020年)では、昼寝と心血管疾患および全死亡リスクとの関連を検討した20件の研究論文を総合的に解析。それによると、昼寝が25分を超えると、心血管疾患の発症リスクが急激に増加し、昼寝をする人はしない人に比べてあらゆる原因での死亡リスクが19%高くなることが明らかになったといいます。

 研究チームは、長い昼寝の習慣は夜間の睡眠の質の低下のサインである可能性が高く、それが健康上の問題につながっているのではないかと推測しています。昼寝が長引いてしまう、あるいは昼寝をした後にスッと起きられないという人は、夜間の睡眠の質を含め、生活習慣をいま一度見直した方がいいと言えるでしょう。

 昼寝をするときは30分程度を心掛けるようにしてください。たった30分かもしれませんが、意味のつながりのある記憶が強化され、良い気分転換にもなります。昼寝は、自身の心身への投資なのです。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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