【持丸修一 76歳名将の高校野球論】#59
先日、耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。日本高野連が今秋の滋賀国民スポーツ大会の高校野球で、7回制を導入することを決めたのです。ここ数年で球数制限やタイブレーク制、クーリングタイムなど、さまざまな新ルールが導入されてきました。本件は、高野連にとって「まずはお試し」という感覚なのかもしれません。しかし、近年中に公式戦へ導入することが既定路線になっているようにも思えて、とてつもない不安と危機感を抱いています。
私は7回制だけは絶対にやめてほしいと思う。
野球が最も面白くなるのは七回、八回、九回です。リードを守り切れるか、逆転できるか。初回から積み上げてきた作戦や分析が試合終盤に生きてくる。体力が尽きかける中、意地と意地をぶつけあって勝敗を争う。これこそが、野球の、高校野球の醍醐味ではありませんか。
指導者や選手たちの間でも、7回制を歓迎する声はほとんど聞かれません。実際、日刊スポーツの報道によると今春センバツ出場校の全主将32人に行ったアンケートで「賛成」はゼロだったそうです。当然の結果のように思えてなりません。
たしかに、近年の気温上昇により、夏場の選手の体調管理はますます難しくなっています。炎天下でのプレーを懸念する声が強まっていることも理解できる。しかし、もっと高校球児の声を聞いてみて、それからの改革ではダメなのでしょうか。
そもそも、7回制では2回しか打席に立てない選手も出てきます。当然、代打を送る機会も減る。投手も野手も、グラウンドに立つ機会が大幅に制限されるのです。一方で高野連はなるべく多くの選手を起用することを我々指導者に推奨しているのだから、どうしたらいいのでしょうかね。
また、野球少年たちが9回制を経験できるのは高校野球からです。データによると、2023年の高校3年の野球部員は4万706人ですが、翌24年の大学1年の野球部員はわずか7663人。つまり、高校野球が「最初で最後の9回制」になるケースが大半なのです。
ここで7回制が導入されれば、多くの選手が「本来の野球」を経験しないまま競技を終えてしまう。高校野球は単なる競技ではなく、野球少年たちにとっての夢の舞台です。それを、野球の本質とは異なる形に変えてしまうことが選手、野球文化の発展のためになるのか、より深く考えるべきだと思います。
特に投手の負担を考慮するなら、まずはDH制の導入から検討するのはどうか。私は「甲子園球場」に特別な思い入れがありますが、ドーム球場での開催も選択肢として受け入れられる。
高野連には、現場の声もどんどん取り入れながら慎重に議論を重ねてもらい、高校野球の未来にとって最良となる方策を模索していただきたい。
(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)