【メジャーリーグ通信】
野茂英雄、イチロー、松井秀喜からダルビッシュ有、大谷翔平まで、メジャーでもスターになった日本人選手は何人もいる。そんな中、所属チームの監督や同僚までもがCMやイベント出演などでガッポリ稼ぐ機会を得たのは、野茂と大谷だけである。
1995年に野茂がドジャース入りして瞬く間に国民的英雄になると、その「七光」でバッテリーを組んでいた正捕手で主砲のマイク・ピアザはコマツの重機のCMに出演した。それだけでなく名伯楽のイメージがあったラソーダ監督にも恩恵が及び、監督を退いた後、水戸黄門に扮して広告に登場して話題になった。この時はワル乗りという批判もあったが、ラソーダ氏と日本の広告業界、プロ野球界との蜜月は、その後も続き2008年には日本政府から勲四等旭日小綬章を贈られている。
この「野茂の七光」を超えるのが今回の「大谷の七光」だ。ロバーツ監督に総合住宅関連企業の木下グループからCM出演の話が舞い込んだ。さらに、同監督はお母さんが日本人で、沖縄・那覇市生まれのため同市から「名誉市民」の称号も授与された。先週、同監督はドジャースと新たに29年までの長期契約を交わしたので、ラソーダ監督と同様、長期政権になるのは確実で、監督退任後に日本政府からラソーダ監督以上の「勲章」を授与される可能性がある。
このほか、ベッツはドジャースとパートナー契約を結んでいる伊藤園のイベントに出席するため、1月下旬に夫人同伴で来日。今月16日には、2度サイ・ヤング賞を受賞した新加入のスネルと元マリナーズの岩隈久志のトークイベントが予定されていた(体調不良でキャンセル)。これはスネルがシアトル出身で元マリナーズファン。岩隈がマ軍のエース格だった関係で実現したものだが、その根底にあるのは「大谷の七光」だ。
大谷はエンゼルス在籍時から日本の国民的ヒーローだったが、二刀流でフルに活躍できるシステムを作りあげた知将マドン監督や二枚看板の片割れだったトラウトに日本の広告業界が注目することはなかった。同様にイチローがマリナーズで目を見張る活躍をしても名将ピネラ監督にCMの話が舞い込むことはなかった。こういった事実から「ドジャース」というブランドのとてつもない大きさを感じずにはいられない。
(友成那智/スポーツライター)