開幕戦はただの1試合ではない…プロゴルファーの現状がわかる「バロメーター」(羽川豊)

【羽川豊の視点 Weekly Watch】

 竹田麗央が米女子ツアー2勝目を挙げた日、国内開幕戦では岩井千怜が逆転で連覇を遂げました。国内8勝で今季から米女子ツアーで戦う伸び盛り。その実力もさることながら、国内戦の前に欧米ツアーで3試合戦ってきたことが大きかった。

 今季の国内女子ツアーはフジサンケイの中止により36試合が行われます。「開幕戦はその1つに過ぎない」という人もいますが、1年を占う大事な試合です。

 昨季の最終戦は選手によって異なるものの、年をまたいでのオフで、誰もが試合から遠ざかります。その間、ボールを打ったりトレーニングで体を動かしてはいても、長い時間、緊張感から解放され、シーズン中とは異なる生活リズムなどで体の感覚が微妙に変わることはよくあります。

 プロ野球選手は何試合もオープン戦を経てから開幕を迎えますが、「それでもあの緊張感は独特」と言います。

 プロゴルファーも同じです。体や感覚の変化に気づかず、緊張する開幕戦の1番ホールで「あれ?」というティーショットを打ったらたちまち不安になります。そんなボールが2、3発出れば、いろいろなことを考え出すものです。アドレスやグリップ、トップ位置を変えるなど、やらなくていいことを試みる。このような選手は男子より女子プロに多く、いい方向へ向かうことの方が少ないです。

 私は現役時代、試合勘を取り戻したり、体や感覚の変化を確認する意味でも、国内開幕戦の前に、アジアサーキットや豪州の試合に出場していました。今年、多くの女子プロが開幕直前に台湾ツアーに参戦しましたが、同じような考えの選手もいたはずです。

 海外試合を経てから開幕戦に臨んでも、やはり朝イチのショットは平常心で打てません。それでも思い通りの球筋と弾道でフェアウエーをとらえ、60台のスコアが出たりすれば、「オフに取り組んでいたことは間違いではなかった」と安心と自信を得ることができ、「今シーズンも頑張るぞ!」という気持ちになれるものです。

 開幕戦の緊張といえば、忘れられないのが2008年の「スターツシニアゴルフ」(千葉・成田GC)です。パットのイップスから8年間もトーナメントを離れていましたが、長尺パターを使い出し「これなら試合に出られそうだ」というところまで回復。久しぶりのトーナメントで1番ホールのティーペグを刺すときはさすがに指が震えました。大袈裟な話ではなく、あれだけ緊張したことは人生で初めてです。

 今年は竹田、山下美夢有、岩井明愛・千怜の姉妹らを加え、総勢13人もの日本選手が米女子ツアーで戦います。旬の選手がいなくなった国内女子ツアーを心配する声もありますが、必ずや新星が出てくるでしょう。

(羽川豊/プロゴルファー)

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