【2025年春のセンバツ 監督突撃インタビュー】
辻川正彦監督(浦和実/59歳)
激戦区を制し、春夏通じて初の甲子園出場を果たしたのが、明日22日出場の浦和実だ。昨秋の県大会は強豪の聖望学園や浦和学院を下して優勝。関東大会は準決勝で横浜(神奈川)に敗れはしたものの、2-3の接戦を演じた。1988年に就任した辻川監督に話を聞いた。
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──就任当時はグラウンドも河川敷だったそうですね。
「学校から車で1時間ですよ。僕が部員を乗せてグラウンドまで送って、帰りも学校まで乗せて帰る。練習時間は長くて1時間半ほどでした。今は専用グラウンドがありますが、そこも学校から自転車で30〜40分。打撃練習もケージの中だけ。以前はフリー打撃もしていましたが、民家の瓦にぶち当たったりして、さすがにまずいなと(笑)」
──練習試合などは組めたのですか?
「最初は結構断られました。知名度もなく、抽選会に行っても知り合いもいない。監督・顧問の飲み会があっても『はい、若いのは向こう』と、手で追い払われるように隅っこに行かされた。そこで2、3時間、誰とも話さず、自分でお酒をついで飲んで……。なんだろう、『ちくしょう!』って思いますよね。見返してやろうとか。その辺が僕の原点だと思います」
──手応えを感じたのはいつですか?
「就任4年目ですね。5年目で夏の埼玉大会ベスト8、秋は準優勝。関東大会では史上最強だった常総学院(茨城)にサヨナラ負け。ああ、甲子園って簡単に行けるかも……と思ったら、これが大間違いだった(笑)。特にウチが一番強かった20年夏は、新型コロナで大会が中止。『俺って運がないな……』と。心が折れかけた時期もありました」
──それでも昨秋は浦学を破りました。
「僕は常々、ベスト8まで行けば何が起こるかわからない、と考えています。県大会3回戦で聖望に勝ってベスト8。そして浦学です。ポテンシャル的には、今年の浦学は歴代でも3本の指に入ると思っています」
──それまで浦学との対戦成績は?
「去年の秋までは2勝して50敗くらいですね。練習試合はBチーム戦を2回だけやって、そこでもコテンコテンに負けた。夏に1度、そして浦和市民大会で1回勝ったきりでした。それが昨秋は違った」
──と言いますと。
「初回が終わった時、『あれ? 今日は勝負になりそうだぞ』と。すると二回に2点を先制。以前ならそこから何度も逆転されましたが、四回に2点を追加。相手も焦っているのが手に取るようにわかりましたが、それでも浦学は怖い。試合が終わるまで何時間にも感じたほどです。通算3回目の勝利ですよ。関東大会でも横浜にボロ負けせず、ようやくチャンスをものにできました。聖望戦が転機で、浦学戦は奇跡ですよ」
──普段の練習時間はどれくらいですか。
「授業が全部終わって、午後4時20分ごろに練習開始。そこから7時までです。寮もありません。埼玉県で寮のない学校が甲子園に出るのが27年ぶりだとか」
──選手集めなどは。
「寮がないので基本は県内の子ですが、ウチの学校は武蔵野線と京浜東北線が交差している南浦和にある。東京や千葉から来れる子はいます。ただ、断られることも多い。『このグラウンドなんですか……』と言われたこともあります(苦笑)」
(聞き手=阿川大/日刊ゲンダイ)